避難所ではコンセントが大人気? 子どもに“非常時の電気なし生活”を教えるには
地面に寝るという経験
【奥村】キャンプでは、電気ガス水道のライフラインがない生活を、楽しみながら体験できますよね。子どもにとって1回でも経験があるのとないのとでは、大きな差が出ます。硬い床のうえに寝たことがある、真っ暗闇を知っている......。そうした体験はいざというときに活きると思います。 【マミ】キャンプをする機会にはぜひ、一度はテント内で地面にそのまま寝てみてほしいです。整備されたキャンプ場でも、地面は地面で硬いんです。それでも土の地面であれば、まあまあ寝られます。これが川べりで石がゴツゴツしたところでは、痛くてとてもじゃないけど眠れません。あと、冬の地面は身体に堪える冷たさですが、夏はひんやり気持ちいい。そんなことも、子どもはすぐに吸収しますよ。 【奥村】野外での活動でいうと、農業体験もいいですよね。私は今夏、子どもを連れて〈すももレスキュー〉という取り組みに参加してきました。 【マミ】なんですか、すももレスキューって? 【奥村】果樹って一斉に実がなるのですが、農家さんの高齢化もあって収穫時期を迎えているのに人手が足りず、熟れすぎると出荷できなくなるという事態が起こってしまうんです。そういうところに、お手伝いにいきます。その活動が、すももレスキュー。
「楽しい」「おいしい」は忘れない
【マミ】素敵ですね! 名前も可愛い。果物が樹にどんなふうに実をつけているか、子どもだけでなく、大人も案外知らないかも......。 【奥村】自分の手で収穫すれば忘れませんよね。何より、穫れたての果物はおいしい! そうした楽しい体験のなかでも、山に行けばすぐそばに土砂災害の爪痕があったりするんです。これもやはり景色として記憶に残りますよね。 【マミ】スイッチを押せば電気がつくし、蛇口をひねると水が出る。子どもには、そうならないときもあるっていう体験をしてほしいなと思いますね。 【奥村】電気といえば、子どもたちは避難所でも自然とコンセントの周りに集まります。スマホやゲーム機を充電したいんですよね。いままで日常的に遊んでいたものだし、しばらくは静かに集中していられるものなので、彼らにとってはとても大事。3.11のときもそういう光景を見ました。