避難所ではコンセントが大人気? 子どもに“非常時の電気なし生活”を教えるには
気候変動と防災
【マミ】今年の夏はほんとうに暑かったですよね。私は子どものころガールスカウトに入っていたのですが、そのときとは気候が違っていると身体で感じます。当時は関東近郊でも夏の山は涼しかったのに、いまは信越のほうまで行かないと「涼しい」と感じられません。でも気候が変わってきているのは、アウトドア好きにかぎらず、みなさん生活のなかでリアルに体感していることですよね。 【奥村】熱中症になる人も増えていますね。高温や蒸し暑さが引き起こす健康被害など「暑熱災害」が発生しています。熱中症もそのひとつです。地球温暖化の影響で、水害もいままでにない頻度と規模になっていますし、これからますます激甚化する恐れもあります。それに備えていかないといけないわけですが、気候変動と防災を結びつけて考えている人は、防災の専門家でもまだ多くないと感じます。 【マミ】わかります。私も、もどかしい想いをしています。 【奥村】ひとりひとりがCO2の排出量を減らし、カーボンニュートラルなど地球温暖化対策に取り組まなくては、根本的な防災にならないと思っています。
夏の避難所、暑さ対策がマスト
【マミ】これまで、防災バッグのなかに用意しておくものは、寒さ対策に必要なものが多かった気がしませんか? 冬の災害で、凍死や低体温症が起こりうるということはだいぶ知られるようになってきたと思います。でもこれだけ夏の気温が上がると、暑さにも備えておく必要がありますよね。
【奥村】冬も夏も、気候による二次災害をどう防ぐか。今年は台風の被害も大きかったですが、台風では窓を開けられないし、停電することも多いので、どこで避難するにしても熱中症対策は重要です。去年も今年も台風で停電が発生し、窓が開けられず部屋のなかが蒸し風呂のようになったという声がたくさん届きました。停電してからでは遅いので、日ごろから冷凍庫にペットボトルや保冷まくらを凍らせておきたいですね。 【マミ】私は、子どもの「夏は暑い、冬は寒い」という感覚を養うことも、防災につながると思っています。冷暖房のきいた屋内で過ごす日常だと、それも忘れがちですよね。私はキャンプが専門でもありますが、キャンプの経験は役立つなと実感しています。子どもは楽しむことを入口に、いろんなことを覚えていきます。同じところでキャンプをしても、季節によって植物や鳥の声が違うとか、雲や風の様子が変わるとか。 【奥村】雨が降ったあとは、川がまっ茶色になるとか。景色として知っておくことも大切ですね。 【マミ】それを見ながら、「このまま雨が何日も降りつづいたら、川とこのあたりはどうなると思う?」って、大人がヒントをあげつつ、子ども自身が考えるようにするといいですよね。