鍵を握るのは“北極”!海洋問題のグローバルリーダーに聞く「海を守るために大事なコト」
海洋問題の象徴、北極を体験!
角南 私が注力し続けている問題のひとつに、北極があります。井植さんも一緒に北極へ行きましたね。 井植 はい。しかも最も寒い2月に……直前まで行くかどうか悩んでいました。 角南 北極こそ、海の問題の象徴なんです。無理矢理にお連れしてしまったかもしれませんが、海がいかにして地球全体とつながっていて、各地でその影響が出ているのかということを、井植さんにもぜひ現地で実感していただきたかったのです。 井植 本当に目からウロコの体験で、まさに世界の見え方が変わりました。会議では、北極点を中心にした世界地図を軸に議論が進行しましたよね。普段見ている近隣諸国がまったく違って見えました。 角南 地球や環境システムのいろんな影響が、最も凝縮して現れるのが極域です。北極は気候変動の影響を色濃く受けていて、我々が住んでいる場所で起きていることの何倍もの影響が、あの小さな極に集まっています。 井植 いわゆる3極の問題ですね、北極、南極、そして膨大な量の氷を蓄えるヒマラヤなどの山脈。今ではだいぶ知られるようになりました。
角南 はい。これら3極の氷がどんどん溶けています。私が特に北極に注目しているのは、北極だけが海の上だからです。南極は大陸ですし、ヒマラヤは山ですから。 つまり北極は、海洋の影響をよりダイレクトに受けるわけです。同時に北極が海洋に与える影響も大きく、とにかく北極を何とかしようと、国際会議が北極圏で毎年行われています。これまで北極問題というと、周辺に住んでいる人たちだけの話でしたが、今は違います。北極のことは地球全体で考えないといけません。北極の状況をもっと調べないと、我々が生きている地球の健康状態がわからないということです。 井植 実際に北極会議に参加し、北極海航路から少数民族にいたるまで、さまざまな課題に関わりました。また、夜が明けない北極圏の街・トロムソを体験できて、本当に有意義でした。