写真家はなぜMacBook Pro(M4)に買い替え、どこに驚いたのか
そしてペンタブレットを接続。僕はワコムの「Intuos Pro」を使っているが、デスクトップではワイヤレスキーボードを追いやって、モニターの下にタブレットを置く。しかし、M4では少々置き場所に悩んだ。横に置くと腕が画面から遠くなり、手前では目が画面から遠くなる。しかし、部分的な焼き込み・覆い焼きはペンタブレットが圧倒的に楽。最終的には、タブレットを太ももの上に置くということで落ち着いた。
これまで僕は多くの写真展を開いてきたが、ここ数年、AIによるレタッチツールの進化が著しい。そこで今回はAdobe Lighroom Classicの「強化」メニューを多用してみた。細部をシャキッとさせ、大きなプリントで効果がある「Rawディテール」のほか、超高感度で撮影した写真には「ノイズ除去」、古いデータや防水カメラで撮影したため解像度が不足気味な写真には「スーパー解像度」を施した。さらに、肌の調整にはAdobe Photoshopの「ニューラルフィルター」を活用。そのままでは肌がのっぺりしてしまうので、結果をレイヤーで保存して元画像の上に。レイヤーの透明度を調整することで、肌を自然な調子に仕上げた。 「スーパー解像度」は以前から展示はもちろん、仕事でも使うことも多いが、GPUが貧弱な6年落ちWindowsではまあまあな時間がかかる。それがM4では数秒レベル。AIが絵柄の隙間や足りない部分を埋めてくれるので、効果的な場合もあれば、稀におかしな結果になって使えないこともある。ただ、おおむね違和感はなく解像度がアップ。解像度はそのままの「Rawディテール」も、絵柄によって効果に差はあるが、レンズの解像力が追いつかない部分を埋めてくれる。プリントはまだこれからの作業だが、結果のほどはぜひ写真展「この雨が地維より湧くとき」(2025年1月10日~1月23日、ソニーイメージングギャラリー銀座)でご覧いただきたい。 というわけでフィニッシュ作業にまで使っていると、14インチじゃなくて16インチにすればよかったかな…と思わなくもないのが1か月使ってみた感想。そこはまあデスクトップにするのが賢明なのだろうけど、ここまでノートのポテンシャルが高いと、AirDropで連携できるMac MiniかMac Studioにするのがいいのかしら…とまた悩みが増える。皆さんもよいパソコンを買って、よい年末を。
鹿野貴司