なぜAI全振りを表明したのか パナソニックグループの「CES 2025」ブースを見て分かったこと
米ラスベガスで開催中の「CES 2025」において、パナソニックグループは、新たな事業戦略「Panasonic Go」を発表した。2035年度までに、AIを活用したハードウェアやソフトウェア、ソリューションを、グループ売上高全体の約30%にまで拡大する計画だ。 【写真】パナソニックの創業製品であるアタッチメントプラグ。1918年に発売した また、AIを活用した新たなデジタルウェルネスサービス「Umi」(ウミ)を、2025年から米国で開始する他、米Anthropicとのグローバルでの戦略的提携も発表した。 2025年1月1日付のPC USER特別インタビューで、パナソニックホールディングスの楠見雄規グループCEOは、「AIによって、『重くて、遅い』と言われるパナソニックグループを変えることができる」、「AIを活用して、人や家庭に寄り添ったウェルネスサービスを進化させることができる」と発言していたが、それが具体的な取り組みとなって示された格好だ。 楠見グループCEOのインタビュー
パナソニックグループはAIの企業になる Anthropicとの提携も
Panasonic Goは、具体的な製品やサービス、技術を指すものではなく、AIを活用したビジネスへの変革を推進するグローバルな企業成長イニシアティブ(先駆的な取り組み)と位置付けている。 パナソニックグループが、これまで培ってきた知見や技術、ハードウェアを最大限に生かしながらAIの活用を広げることで、競争力の高いビジネスへと変革し、さまざまな領域において、パナソニックグループならではの「お役立ち」を果たしていくことになるという。 CES 2025のオープニングキーノートに登壇したパナソニックホールディングスの楠見雄規グループCEOは、「Panasonic Goによる変革で、パナソニックの全てを変えることになる」と宣言した。 また、パナソニックグループは創業者である松下幸之助氏が、1932年に250年計画を打ち出しており、その計画に基づいて「物と心が共に豊かな理想の社会」を実現することを使命として事業活動に取り組んでいることに関しても説明した。「AI が急速に進化し、暮らしやビジネスの新しい可能性を広げることができる時代になった。パナソニックグループは、2032年から始まる250年計画の第5節(建設時代10年/活動時代10年/社会への貢献時代5年の合計25年を1節として10節繰り返す。第5節は2032年~2056年)に向けて、Panasonic Goを推進する」と、楠見グループCEOは述べている。 明確な指標として打ち出したのが、2035年までにAIを活用した事業で、グループ全体の売上高の約30%を占めるという計画だ。 ここでは、サプライチェーンマネジメントソリューションのBlue Yonderにより、AIを活用したオートノマスなサプライチェーンを実現し、このビジネスを拡大させること、毎日10億人以上が利用しているパナソニック製品の顧客接点を活用し、多様化する顧客ニーズにあわせたサービスを提供することなどが盛り込まれている。 Blue Yonderでは、既にAIを活用して毎日200億件以上の予測を行い、小売事業者や製造事業者、物流サービスプロバイダーなどがサプライチェーンを最適化し、企業のサスティナビリティーに貢献していることを強調。この取り組みをさらに進化させることになる。 また、くらしの領域においては、AIエージェントを活用したデジタルファミリーウェルネスサービス「Umi」を、2025年から米国で開始することを発表した。ウェルネスデータを活用し、それぞれの家族に合わせた具体的な行動計画へと落とし込み、健康的な習慣を築き、家族全員が同じ目標に向かって取り組めるプランなどをルーチンとして提案することになる。 さらに、Panasonic Goの推進に向けて、Anthropicとのグローバルな戦略的提携を発表した。Anthropic のAIアシスタントである「Claude」を活用することで、会話型AIを通じて、パナソニックグループの製品を利用する10億人の顧客に対し、パーソナライズしたサービスを提供する。その第1弾として、UmiにClaudeを搭載することになる。 CES 2025でパナソニックグループは、AIの企業になることを宣言した格好だ。今後、AIを活用した製品、サービスがどんな形で提供されるのか、それによって、パナソニックグループがどんな企業に変貌するのだろうか。そののろしを上げたという点で、重要な意味を持つCES 2025であったといえる。
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