吉川氏「20年ぐらい前の信念の正しさが証明された」JAXA会見6月29日(全文4)
オールグリーンであったことへの感想は
毎日新聞:毎日新聞の永山です。今日はどうもありがとうございます。ちょっと前の質問と重なるところもあるかもしれないんですけれども、津田さんと吉川さんに伺いたいんですが、今回、成功基準の全てがオールグリーンになって、ある意味満点のプロジェクトだったということになったんですけども、そのオールグリーンであったということに対してどういう感想を持たれたのか、まず現プロマネの津田さんに伺いたいのと、立ち上げのときのプロマネをされた吉川さんに、こういった形でプロジェクトが終わったということについての感想を伺えればと思います。 津田:ありがとうございます。このサクセスクライテリアの表を見ていただくと本当に挑戦的なことが書かれていて、これ、本当に埋まるのかなと、埋まるのかよと思いながらプロジェクトを始めた思いが、記憶があります。地球に帰ってきてやっとミニマムサクセスが達成できるとか、タッチダウンそのものがフルサクセスに入っちゃっているとか、それから、エクストラサクセスには2回目の着陸のことが一応書かれてはいるんですよね。われわれはでもそういうことを全てやり切る意気込みでおりました。ただ、ぎりぎりやれるようにしておくようなチームのつくり方ではなくて、これはリュウグウがどういう天体か分からなかったので、どんな天体がきてもそれを克服できるようなチームにしたいし、マネジメントをしたいというふうに心掛けてやってきました。
最初からターゲットはリュウグウだった
その結果、リュウグウに着いてみて、本当に、なんて言うか、われわれの想像を裏切る厳しさで恨みましたけれども、今となっては、そのおかげでサクセスクライテリアを、本当に、単にグリーンにしたとか、あそこの表を緑で埋めたというだけじゃなくて、本当に最高の形で、われわれにとって得るものがたくさんある形で埋めることができたと。本当に胸を張ってこんだけのこと成功したんだと言える形にできたのが、本当に幸いだったと思います。そういう意味でリュウグウには今は感謝していますけれども、それを克服したチームメンバーにも、応援していただいた皆さんにも感謝しています。 吉川:私のほうは立ち上げ期のリーダーだったんですけれども、思い出すと2005年ですね、「はやぶさ」が2005年末に大変なことになって、「はやぶさ」は地球に戻ってこらんない可能性があるとか、サンプル採れてないんじゃないかということで、2006年に、当時、藤原先生を中心として「はやぶさ2」の提案をして、そのあと私のほうで引き継いでやってきたんですが、なかなか提案が通らなかったわけですね。予算要求しても認めていただけないという状況が続いたんですが。 でもそのとき思ったのは、もう最初からターゲットはリュウグウだったんですね。名前はリュウグウという名前じゃなかったですけれど。C型小惑星は絶対面白いんだと。そういう信念に近いものがあって、これはやれば必ず面白い成果が上がるという信念でずっとやってきたのが結果的にこういうことになって本当にうれしいですね。もう20年ぐらい前の信念が、やっぱり正しかったということが証明されたのと、ここまでできたのは、やはり素晴らしいプロジェクトメンバーに恵まれたり、多くの人から応援してもらったりサポートいただいた、これら本当に全てがかみ合って今回の成功になったんだということで、この緑がたくさん並んでいるのを見ると本当に、これ、うれしく今思っています。どうもありがとうございました。