歯のインプラントを長期維持するコツ 歯科医が教える正しいケアとメンテナンス
インプラントケアのモチベーションを維持するためのポイント
編集部: インプラントのケアやメンテナンスの重要性は理解しても、モチベーションの維持が難しいと感じてしまうのですが、何か良いアドバイスはないでしょうか? 小松先生: 確かに、モチベーションの維持は患者さんにとって大きな課題です。私からのアドバイスとして、まずはご自身の「歯の価値」について、より深く知ることから始めていただきたいと思います。 これはインプラントに限った話ではなく、天然歯のケアやメンテナンスにおいても重要な考え方です。 編集部: 「歯の価値」について、もう少し詳しく教えてください。 小松先生: 価値観というのは人によって様々ですが、1つ興味深い例があります。日本では過去の裁判で、1本の歯を失った場合の損害賠償として「150万円」という判決が出された事例があります。 これを上下左右28本の歯に換算すると、私たちの口の中には実に4200万円の財産が詰まっていることになるわけです。しかし、天然歯にそれほどの価値があるということはあまり知られていませんし、それを意識して生活している人もほとんどいないと思います。 編集部: 確かに、自分のお口にそれほどの価値があると意識すれば、モチベーション維持にもつながりそうです。 小松先生: 自身の歯の本来の価値を理解すれば、ケアやメンテナンスも「面倒なこと」ではなく、将来に向けた大切な「自己投資」ととらえることができると思います。このような意識を持つことが、長期的なモチベーション維持のカギと言えるでしょう。 編集部: 最後に、読者へメッセージをお願いします。 小松先生: 今回はインプラントのケアを中心にお話ししましたが、「インプラントを入れたからケアが必要」というわけではありません。自分の歯でもインプラントでも、セルフケアと定期メンテナンスは生涯にわたって継続していく必要があります。 私たち歯科医が普段、口腔ケアの重要性を強調してお伝えするのも、それを無理強いしたいわけでなく「これ以上、歯を失ってほしくない」という想いからです。 この記事をきっかけに、ぜひご自身の歯の価値について考え、積極的に口腔ケアに取り組んでいただきたいと思います。