歯のインプラントを長期維持するコツ 歯科医が教える正しいケアとメンテナンス
インプラントケアには歯科定期メンテナンスが不可欠 その理由や頻度を解説
編集部: 毎日の歯磨きのほかに、インプラントを入れた方に必要なケアはありますか? 小松先生: インプラントのケアは日々の歯磨き(セルフケア)にくわえ、歯科医院でのメンテナンスが不可欠です。100点満点の歯磨きができる人はほとんどいないので、できない部分を歯科医院で補ってもらうイメージでいるとよいでしょう。 インプラントは見えないところに意外と汚れがつきやすいので、歯科医院でプロフェッショナルケアやブラッシング指導を受けることが大切です。 編集部: 歯科医院のメンテナンスには、そのほかにどのような効果やメリットがあるのでしょうか? 小松先生: 「早期発見」も歯科定期メンテナンスにおける重要なキーワードです。例えば、インプラントを入れた後にとくに注意したいのは「インプラント周囲炎」です。 天然歯の歯周病と同じ病態を示しますが、インプラント周囲炎は進行が非常に早く、歯周病の5倍から10倍のスピードで進むと言われています。また、インプラントも長く使っているうちに、ネジが緩んだり、噛み合わせが変わったりすることがあります。 これらはいずれも自身では気づきにくいため、歯科医師による定期的なチェックで早期に発見し、大きなトラブルに発展させないことが重要です。 編集部: 歯科医院のメンテナンスは、どのぐらいの頻度で通うのがよいのでしょうか? 小松先生: 基本的には3か月に1回のメンテナンスをおすすめしています。ただ、これはあくまで1つの目安で、頻度を決める際には、天然歯の状態も十分に考慮する必要があります。 なぜなら、近年の研究で、歯周病の管理状態がインプラントの予後に影響することが明らかになってきたためです。 したがって、歯周病が安定している人なら3か月に1回でも問題ありませんが、不安要素のある方は2ヶ月に1回、状況によっては1ヶ月に1回のペースで通うのが最善だと思います。 編集部: 歯科医院のメンテナンスは、いつまで続ける必要がありますか? 小松先生: インプラントの定期メンテナンスは、一生続ける必要があります。ただ、これは「インプラントを入れたから必要」というわけではありません。 インプラントに限らず、お口の健康を守るうえでメンテナンスを受けることは当然のことだと思ってもらいたいですし、歯の大切さやその価値を十分に理解すれば、それほど苦にはならないと思います。