城氏が最終チェック…“最強”スペインとの意義あるドローから見えた東京五輪でのメダル可能性
この日、日本の攻撃陣は、なぜか左サイドを中心に攻めていた。久保も多くをそこでプレーした。スペイン守備陣を分析し、戦略上、そこが狙い目だと読んでいたのだろう。つまり、このワンチャンスをものにしたゴールは、綿密に練られた狙い通りのゴールだったとも言える。加えて久保はドリブルでよくボールを持てた。リーガでプレーしている久保は、スペインになんら臆することなく堂々としていた。こういうメンタルは緊張する本番を戦う上で頼もしい。 もちろん課題も見えた。遠藤と板倉のボランチコンビは機能しなかった。森保監督にしてみれば、この2人の組み合わせを見る機会が少なかったので、テストの意味も込めて起用したのだろう。板倉がディフェンシブにならざるを得なくなり、2人の背後のスペースを狙われ、そこに人に立たれ、パスを通された。ここでボールを奪い、攻撃に展開するパターンを作ることができなかった。やはり遠藤と田中のコンビがベストになると思う。 引いて戦うことになったが、あまりに深い位置までボールを運ばれてしまうシーンが目立った。中盤でプレスをかけて、ボールを奪い、攻撃へ切り替えるイメージの共有ができていなかった。ボールを奪ってから「いくのか」「いかないのか」というコンセプトが全体で統一できていなかったように見えた。どこでボールを奪い、どう攻めるかのイメージの共有部分を細かく詰めていく必要がある。 それでもチームとしての仕上がり具合は7、80%はある。 ポジション的にまだ決定と言えないのはFWくらいだろう。森保監督の胸の内は足の付け根の肉離れから復帰した上田だと思う。ワンタッチで受けたり落としたりできるFWで後半39分には、三好のスルーパスにギリギリの飛び出しで反応しGKと1対1の状況を作りシュートまで持っていった。こういう部分が上田の魅力だが、残り5日でどこまでコンディションを戻せるか。 新型コロナ対策で、代表枠が18人から22人に拡大したことで、メンバーに滑り込んできた林が、この日、先発したが、彼は、体を張ったプレーをしてサイドで起点を作ることができるし中盤との連携もいい。総合的に考えて初戦の南アフリカ戦は、林の先発でもいいのかもしれない。FW以外は盤石の布陣で五輪に臨める。