城氏が最終チェック…“最強”スペインとの意義あるドローから見えた東京五輪でのメダル可能性
ではU-24代表は53年ぶりのメダルを獲得することができるのか。お世辞抜きに今回のメンバーは史上最強だと思う。海外でレギュラーを張っている選手が多くレベルが高い。五輪を戦い抜くための条件さえ満たせばメダル獲得の可能性は高まるだろう。 ただ私は、現時点ではメダルどころかグループリーグを勝ち抜く可能性さえまだ五分五分だと見ている。五輪の雰囲気は独特で簡単には勝たせてはくれない。その中でメダルを獲得するための条件とは、本番でチームに勢いを作って乗れるかどうか、という点にある。 近年では、ロンドン五輪のチームが、メダルまであと1勝の4位までいったが、OA枠で招集された吉田が引っ張ったチームは大会で勢いに乗って実力以上の力を発揮したのだ。 とくに一発勝負の決勝トーナメントの戦いはグループリーグからの勢いに左右される。 そう考えると最重要なのが、22日の初戦の南アフリカ戦となる。ここで日本の五輪の戦いのすべてが決まると言ってもいい。いい形、いい内容で勝利し、勝ち点「3」を奪えば、チームは勢いに乗れる。黙っていても続くメキシコ、フランス戦ではいいプレーが生まれるだろう。世界ランキングや、選手個々の実績や実力で言えば、南アフリカは、日本が勝って当たり前のチームではある。だが、足をすくわれる懸念も残る。粗削りのチームの南アフリカに、“力ずくのサッカー”をされると怖い。日本は、たとえ強豪であってもスペインのような欧州スタイルのつないでくるチームの方が慣れていて対応しやすいという傾向がある。 理想は、南アフリカ、メキシコ(25日)に連勝して、余裕をもってフランス戦(28日)を迎えること。そこまで、もつれて決勝トーナメントの進出の可能性が、最後のフランス戦にかかってくるようになれば厳しい。フランス戦には引き分けでも勝ち抜ける状況にしておきたい。期待を胸に五輪の戦いを見守りたいと思う。 (文責・城彰二/元日本代表FW)