笑えない東京五輪直前テスト戦での快勝…なぜUー24代表はホンジュラス戦の後半に失速したのか…「たまたま勝てた」
キャプテンマークをMF遠藤航(シュツットガルト)に手渡したDF吉田麻也(サンプドリア)は、首をかしげながらヨドコウ桜スタジアムのピッチを後にした。 DF町田浩樹(鹿島アントラーズ)と交代した後半35分の時点で、U-24日本代表はともに東京五輪に出場するU-24ホンジュラス代表を2-1とリードしていた。 5分後にはMF堂安律(PSVアイントホーフェン)が、この試合で2ゴール目となるダメ押し点を右足でゲット。東京五輪に臨む代表メンバー決定後で初めてとなる、12日の国際親善試合を3-1で終えた結果には満足できても、特に後半の内容にオーバーエイジ枠で招集された32歳のベテランは「一番納得できない」と首を振った。 「前半はよかったけど、後半に3点目を先に決めないといけない。2点差から1点を返されると相手も勢いづいてくるので、それは気をつけようとハーフタイムにみんなで話していながら、実際にそうなってしまった。そこが今日の課題ですね」 吉田が指摘した通りに、U-24代表は前半と後半とでまったく異なる顔を見せた。 前半は完璧だった。前線からの連動したプレスと攻守の素早い切り替えが融合した展開で、ホンジュラスに一本のシュートも許さない。攻めては13分にMF久保建英(レアル・マドリード)の直接FKを、吉田が右足を柔らかく合わせて先制した。 40分には目指していた形から追加点を奪う。ホンジュラスのカウンターを未然に防いだDF冨安健洋(ボローニャ)が、ボールを久保に預けてそのまま左サイドをオーバーラップ。久保からのリターンを受けた冨安が放ったグラウンダーのクロスを、FW林大地(サガン鳥栖)が相手ディフェンダーを背負いながら落ち着いて後方へ落とした。 あうんの呼吸から、堂安が利き足とは逆の右足を一閃してゴールネットを揺らした。林が落とす直前にはMF三好康児(ロイヤル・アントワープ)が意表を突くスルーを演じるなど、流れるようなコンビネーションから奪ったゴールにも、起点となるインターセプトに成功した冨安は「たまたま勝てた、という感じです」と手放しでは喜ばなかった。 「後半は奪ったボールをつなげないミスが多くなり、結果として相手に押し込まれる展開が多くなったので。足が止まっている感じは、全体的にあったかなと思います」 後半開始から一気に5人の選手を交代させたホンジュラスは、16分にさらに2人の選手をピッチへ送り出している。しかし、18分に林とFW前田大然(横浜F・マリノス)を、MF田中碧(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)とDF板倉滉(マンチェスター・シティ)をようやく代えた森保一監督にとって、後半の失速は実は織り込み済みだった。 「相手がフレッシュな選手を入れてきたなかで、押し込まれる展開はある程度想定していた。体力的には厳しいところがあったけど、選手たちの多くが1ヵ月ほど試合から離れていたので、きつい状態でプレーしてもらおうと思っていたところがありました」