「ヒグマとツキノワグマの悪魔合体が起きている」…!いま秋田の猟師たちが恐れる「最凶のハイブリッド熊」の正体
クマ牧場の杜撰な管理体制
人間の肉を食べるようになったと考えられる背景は以上の通りだ。だが、ここでひとつの疑問が残る。前述のとおり、ツキノワグマは臆病で警戒心が非常に強い。弱っている人や遺体ならまだしも、スーパーKや佐藤さんを襲ったクマのように、積極的に人を襲う個体が現れたのはなぜなのか―。 その疑問に答えてくれるような証言を、本誌は地元住民から得た。 「10年以上前の冬に、八幡平のクマ牧場から逃げ出したヒグマがいたっていうのは地元では知られた話だ。そのヒグマが、ここらのツキノワグマと交配して子供を大量に作っているんだろう」(鹿角市の土木業者社長) 八幡平のクマ牧場とは、秋田県鹿角市にあった「秋田八幡平クマ牧場」を指す。この牧場は、'12年に起きた大事故によって閉鎖に追いやられた。 「牧場から6頭のヒグマが脱走して、従業員2名を殺したのです。4.5メートルの高さがあるコンクリート塀に囲まれていたため、普通は逃げられません。ただ、積もった雪が雪かきで一角に集中して投棄されていた。その雪が壁の上部から約1メートル下にまで達していたことから、ヒグマは雪を登って逃げ出したことがわかりました」(地元新聞社社会部記者) 駆け付けた地元猟友会によって、逃亡した6頭はすべて射殺されている。そしてその後、牧場の杜撰すぎる経営が取り沙汰されるようになった。 このクマ牧場は、飼養管理台帳の作成を怠り、飼育頭数を把握していなかったことが明らかになったのだ。最盛期には約130頭いたクマは事件当時30頭あまり。すべて死亡していたと仮定しても、クマの死骸をどう処理したのか示す記録が残っていなかったという。 こうした管理体制を把握していた地元住民たちは、「報道されていないだけで、逃げ出したヒグマは他にもいる」とかねてから話題にしていた。
恐怖の「ハイブリッド個体」
佐藤さんの遺体の第一発見者である高橋さんは、こう語る。 「何年も前から、一般的なツキノワグマの倍ほどもある大型の個体を見たと、山の仲間たちは話していました。私たちは、ヒグマとツキノワグマが交配して誕生したであろう彼らを『ハイブリッド個体』と呼んでいます。 ヒグマの体格と獰猛な性格を受け継いだ個体が、秋田の山の中をウロウロしていると思うと、恐ろしくてたまりません」 スーパーKやその母グマ、そして佐藤さんを襲ったクマが「ハイブリッド個体」であれば合点がいく。いずれもヒグマ特有の「積極的な攻撃性」を持っているからだ。 ただ、クマとはいえ種の違う動物同士が交配を重ねることはありうるのか。動物研究家のパンク町田氏は、こう解説する。 「ヒグマとツキノワグマが交配する可能性はあります。そう考えると、今回の事件を起こしたクマにはヒグマらしい性質が2つあります。 1つは、捕獲した獲物に対する執着心が異様に強い点。もう1つは、積極的に走って人を襲った点です。このクマは、異なる種が交配をしたことで、ヒグマの攻撃力とツキノワグマの立体的な敏捷性という両者の特性を併せ持っている可能性も否定できません」 スーパーKの遺伝子を継いだ「ハイブリッド個体」が、本州全土に出没する日は近い。 「週刊現代」2024年6月8・15日合併号より ・・・・・ つづく記事『秋田の山中に出没した「人喰いグマ」の「ヤバすぎる正体」…! 報じられない地元の証言「どう見てもツキノワグマじゃねえ」「デカすぎる」』では、現地の目撃証言をさらにお伝えします。
週刊現代(講談社)
【関連記事】
- 【つづきを読む】秋田の山中に出没した「人喰いグマ」の「ヤバすぎる正体」…!報じられない地元の証言「どう見てもツキノワグマじゃねえ」「デカすぎる」
- 「遺体はすでに硬直し、足は曲がったままで…」秋田でクマに襲われ死亡した男性の「第一発見者」が明かす「恐怖の現場」
- 「警察官の鼻が半分もげて、めくれあがり」…秋田のクマ出没現場にいた目撃者が振り返る、エグすぎる「襲撃の瞬間」
- 地元猟友会の男性が危惧!秋田の山中に出没した「人喰いグマ」は、本当にツキノワグマなのか…指摘されている「ヒグマとの交配」の可能性
- 急増するクマに「死んだふり」は本当に有効なのか?…9回襲われた識者が伝授「クマに遭遇したとき、命を守るために絶対にやるべきこと」