「父親なのに、養育費を振り込まないなんて!」自分勝手な理由をつけて、支払いを辞めた「嘘つきな元夫」への絶望
夫婦問題・モラハラカウンセラーの麻野祐香です。「自分を大切にしてくれ、本当に優しい人だから結婚すれば幸せになれる」と信じていたのに、結婚した途端にモラハラが始まり、我慢できずに離婚を選ばれる方は少なくありません。 【データ】10人に1人が、配偶者からの繰り返しDVを受けている 経済的な理由や子どもの養育の問題もありますが、モラハラ夫と共に暮らし続ける辛さに耐えられず、離婚を決断される方も多くいらっしゃいます。離婚の際には、モラハラ夫がそれまで子どもの世話をしていなかったにもかかわらず親権を主張したり、養育費の支払いを拒否するために「お金がない」と言い訳をするケースもよく見受けられます。 今回は、離婚調停や公正証書の作成を行わず、「すぐに離婚を受け入れる」と言った夫に対し、早く離婚を成立させたいと考えてその条件を受け入れたNさんのお話です。 Nさんの場合、公正証書は作成していませんが、二人の取り決めはお互いのLINEに残っているという状況です。
結婚当時のこと
Nさんは、かつて夫と出会ったとき、彼の優しさに心惹かれました。彼はいつも穏やかで、Nさんを大切にしてくれる、本当に優しい人だったそうです。そんな彼と結婚すれば、幸せになれると信じ、赤ちゃんができたことをきっかけに彼の結婚の申し出をすぐに受け入れたそうです。 『夫とは私の妊娠が分かった時に、プロポーズされ結婚をしました。つわりもありましたし、特に結婚式もしたくなかったので、親族だけでの食事会が結婚式の代わりでした。 その時も夫はとても私の体調を気遣い、優しい人と結婚をできてよかったと幸せを噛み締めていました。』 でもその日、帰宅した途端にガラッと夫は変わったのだそうです。 「めんどくせえ」そればかり言って、1人さっさと眠ってしまいました。その時は何が起きたのかわからなかったNさんでしたが、それがモラハラのスタートでした。 『子供が生まれてからも、子供がいい子の状態の時は自分が抱っこをしたり面倒を見ますが、泣き出した途端に私へ子供を渡し「うるさいから出かけてくる」と言って外出するのが当たり前になっていました』 Nさんが最初に感じた夫の優しさと、その後の突然の変化は、モラハラの初期段階でよく見られる「理想化と脱価値化」のサイクルです。モラハラ加害者は、最初に相手にとって自分を理想化し、全力で魅力的に振る舞います。しかし、結婚などで逃げられない状態をつくり2人の関係を安定させると、急に相手を見下し、冷たく扱うようになります。この急激な態度の変化は、被害者を戸惑わせ、相手に対して不安や混乱を感じさせます。そうすることで心理的に相手をコントロールしようと、無意識にモラハラ加害者が行うことなのです。 Nさんのように、パートナーの突然の変化に戸惑う場合、自分の感情に蓋をせずに、その時に夫に不満を告げ夫の態度や暴言がひどくとも負けない態度を取ることができれば、モラハラ夫は「この妻は自分の思い通りにならない」と諦める場合もあります。それが出来合い場合は、信頼できる第三者に早めに相談することが、早期に問題を解決する方法の一つとなります。