「父親なのに、養育費を振り込まないなんて!」自分勝手な理由をつけて、支払いを辞めた「嘘つきな元夫」への絶望
モラハラ夫は自分の趣味を子供に強制する
『夫は小学校の頃から野球部に入り大学までずっと野球部でした。そのせいか、どうしても自分の子供にも野球をやらせたいと思っていたようなんです。息子が小さな頃から、公園でキャッチボールをするのが日課になっていました。 小学校になってからは地元の少年野球チームの監督をボランティアで引き受けていました。息子も野球が大好きだったので、野球に関することを父親と一緒にするのは抵抗はなかったようです。夫の夢は息子を中学受験をさせ、自分の母校の野球部に入部させたいということでした。息子も好きな野球をできる、その中学に入れれば高校受験も大学受験もしないでいいという言葉に乗せられ、受験勉強も頑張り合格できたのです。』 Nさんの夫は少年野球チームの監督を引き受け、他の保護者の方たちに「監督」と呼ばれることに酔いしれていたそうです。自分は他の保護者より特別だと思うその気持ちは、誰でも嬉しいものですが、モラハラの加害者が、監督やリーダーの立場に特に惹かれるのは、自分が注目されて特別だと感じたい気持ちが強いからです。このような役職に就くことで、他の人から尊敬されたり、自分が力を持っていると感じられるので、ますます自分に酔いしれてしまうのです。心理学的には、この行動は「自己愛型人格」の特徴として説明できます。また、その立場を使って他の人をコントロールしやすくなることもあり、人を支配したり特別な目で見られたりしたいモラハラの人にはたまらないことなのです。
外と家でのギャップがすごい。無責任さが増す夫
『息子が夫の母校に入学すると、夫は入学式の日にクラスの役員決めで自ら立候補し、役員の一人になりました。その後、昔から知る野球部の顧問の先生に息子を連れて挨拶に行きました。周りから見れば、育児に熱心で頼りがいのある父親に映るでしょう。しかし、家に帰ると夫はまるで別人のように変わり、私に対してはいつも厳しい言葉を浴びせるのです。些細なことでも怒り、彼の冷たい言葉は、まるで刃物で心を切り裂くように私を傷つけました。息子に対しても厳しい言葉ばかりを投げつけ、息子は「お父さんが大嫌いだ」と口にするようになりました。 息子は野球部で一生懸命頑張っていましたが、一年生のレギュラーにはなれませんでした。それに対し、夫は「練習をサボるからだ」と息子を怒鳴りつけ、近所の公園のグラウンドを30周走るように命じて追い出しました。 自分が傷つくことには耐えられても、息子にまでそんな仕打ちをする夫を、私はもう許すことができませんでした。そして、ついに離婚を切り出したのです。』 モラハラ夫が妻に対しての暴言や、息子が自分の思い通りにならないからイライラする理由は以下になります。 1. 自分が特別だと思いたい モラハラ夫は、自分が特別で重要な存在だと感じたいという強い欲求があります。外では良い人を演じて周りからの評価を得ようとしますが、家の中ではその反動で自分以外の家族を支配し、自分が上に立っていると感じたいのです。 2. 他人をコントロールしたい モラハラ夫は、他人をコントロールすることで安心感を得ます。自分の不安や劣等感を隠すために、妻や子供に厳しく接し、支配しようとします。夫の期待に反して、息子さんがレギュラーになれなかった出来事によって、さらに家族をコントロールしようとする気持ちが強まっていくのです。 3. 感情をうまく扱えない モラハラ夫は、自分の怒りや不満をうまくコントロールできません。息子がレギュラーになれなかったことに対するイライラを、自分自身では処理できず、そのフラストレーションを家族にぶつけてしまいます。 4. 過去の影響 モラハラ夫は、幼少期や過去の経験で学んだ行動パターンを繰り返していることがあります。もし彼が同じような環境で育っていた場合、自分の価値を他人に認めさせるために厳しく接することを正しいと思い込んでいる可能性があります。 本記事では、Nさんとその息子さんが受けたモラハラ事例をもとに、なぜモラハラ夫は自分の思い通りにならないとイライラを爆発させるのか?という加害者側の心理についてご説明しました。 つづきの【後編】では、Nさんと夫の離婚の取り決めとその後についてお届けします。
モラハラ/HSP専門カウンセラー 麻野祐香