東京海上日動あんしん生命のオウンドメディアが約4年で月80万UUを達成できた理由とは?
特に苦労した「社内稟議」と「マネタイズ」。経営層にマネコミ!の存在価値を伝え続ける
ファンコミュニティという新しい可能性も見えてくるほどに成長したマネコミ!だが、その過程では苦労の方が多かったと齋藤氏は言う。1つは社内稟議だ。同社では、施策ごとに毎年予算申請を行う必要があり、申請が通ると次年度の予算がつく。そのため、毎年施策の振り返りを行い、今後の可能性や効果を示していかなければならない。 マネコミ!はKGIを保険無料相談の獲得としていたが、それだけではなく、さまざまなトライアル施策のPoCや、ユーザー調査の場として活用や、マネコミ!の人気コンテンツを保険代理店や企業に提供して活用する施策などに価値があることを経営層に伝えて理解を得てきたという。 もう1つの苦労は、マネタイズのハードルの高さである。マネコミ!のターゲットは、生命保険ニーズ未顕在層であるため、いわゆる「今すぐ層」と言われる生命保険に今加入したい層ではなく、今後何かのタイミングがあれば検討をする「いずれ層」のユーザーであるため、すぐには成果に結びつきにくい。 また、他社の商品と比較して検討したいというユーザーも多いため、保険会社に保険相談したいというユーザーよりも、保険比較サイトのような会社に相談をしたいお客様が多く、保険相談の獲得に苦労している。インフルエンサーマーケティングなどにも挑戦したものの、PR施策を見てすぐに購入する商材ではないため、大きな効果を得るには至らなかったと振り返る。さまざまな場面で苦労に直面をしながらも、施策を継続できたのは、マネコミ!の存在価値を経営層に理解してもらえているからだと齋藤氏は述べる。
齋藤氏が考えるマネコミ!というオウンドメディアの3つの意義とは
続いて、齋藤氏が感じているオウンドメディア、マネコミ!の意義を3つ紹介した。 1. 情報提供 保険情報や金融知識、生活の知恵、健康上のリスクに備えるためのノウハウなど、多岐に渡るトピックから自社の強みが活かせる話題をコンテンツとして提供。 2. ブランディング 自社の強みやコンセプトをアピールすることで、信頼性と知名度を獲得。2023年度からは、社員を紹介する「あんしん解体新書」という連載コラムを開始した。ブランディング効果に加え、社員のモチベーションアップにもつながっている。 3. 顧客エンゲージメント 今後、会員制を導入することで、ユーザーごとに最適なコンテンツを最適なタイミングで提供できるようになり、エンゲージメント向上が期待できる。 ┌────────── これらをマネコミ!で実現することで、顧客ロイヤルティの獲得や、長期的なパートナーシップ関係の構築による解約抑止にもつながると考えています。契約後の接点が少ない生命保険において、オウンドメディアを通じた自社ブランドのファン化、ファンマーケティングにも活用できることがオウンドメディアの意義です(齋藤氏) └──────────