「再生エネルギー100%」実現性は? 本気で目指す企業と世界的な取り組み
「わが社は100%再生可能エネルギーの電気しか使いません」 このような発言を聞いてどう思いますか? 小さな会社なら、それほど難しくはないかもしれません。しかし実は、コピー機販売などの大手企業リコーが、世界中で展開する事業に必要な電力のすべてを、2050年までに再生可能エネルギーだけでまかなうと宣言しているのです。 フランスがガソリン車禁止の方針、エネルギー情勢が大きく変わる? 同じような宣言をした世界的企業はリコーだけではありません。 2014年9月、国際環境NPO「The Climate Group」が「RE100」というプロジェクトを立ち上げ、「風力・水力・太陽光・地熱・バイオマスといった再生可能エネルギー(再エネ)でつくった電気だけを使うことを宣言しませんか?」と産業界に呼びかけました。すると、AppleやBMW、Google、IKEA、Microsoft、NIKEといった世界的な企業が次々と参加を表明し、いつまでにどのくらいを再エネによる電力に切り替えるのか目標値を示しました。 2017年7月現在、RE100への参加企業数は96。リコーは日本企業としては初めての参加社となりました。
再エネをめぐる変化を示す3つのグラフ
二酸化炭素を出さず、枯渇しないエネルギー源として、今の私たちが選択できるのは、再生可能エネルギーです。核燃サイクル技術が確立していない現状では、原子力を主役には考えにくいです。これまでほとんどを化石燃料でまかなってきた発電を、100%再エネで置き換えることは、一昔前までは夢のまた夢の印象がありました。しかし近年、その印象は大きく変化しています。 それはどんなものか。再エネの今と将来性を考えるグラフを3つ紹介します。
このグラフは、再エネの導入目標値や、再エネ推進のための具体的な政策を掲げている国の数の推移です。世界の9割の国が目標値を掲げていることが分かります。そして、2015年12月には、国連気候変動枠組条約の第21回締約国会議(COP21)で、世界のほぼすべての196の国と地域が参加し、温室効果ガスの排出を抑えるための国際的合意「パリ協定」が採択されました。 パリ協定で掲げられたのは、「将来の世界の平均気温上昇を、産業革命以前に比べて2度よりも十分低く抑える」ために、「今世紀後半には、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」という目標です。これは世界の国々が協調して取り組まなければ到底達成できない壮大な目標で、それを達成するために再エネの導入量を拡大していくことは世界中で重要政策となります。