「再生エネルギー100%」実現性は? 本気で目指す企業と世界的な取り組み
これまでの各国の取り組みで、再エネによる発電量は世界的に着実に増加しています。図2を見てください。ソーラーパネルと風車による総発電能力の推移を、EU、アメリカ、中国、日本について示しています。ヨーロッパでは再エネ推進の政策により、早くから普及が進んでいたことはよく知られていますが、中国における近年の再エネ導入のスピードには目を見張るものがあります。国別でみたときの再エネ発電量では、今や中国が世界最大の再エネ大国になっています。 日本では2012年から再エネの「固定価格買取制度」が始まり、2016年4月には家庭用も含めて電力の小売り事業が完全自由化されました。これに伴い、再エネ(特に太陽光発電)による発電施設が劇的に増えました。
図3からは、再エネが拡大するにつれて発電コストが着実に下がってきたことが分かります。将来的には今の水準よりも、さらに下がる見込みで、従来の化石燃料に匹敵する安さが実現すると予想されています。逆に化石燃料の価格は徐々に上昇していくとみられ、燃料費がいらない再エネが近い将来、もっとも安い電源になる期待があります。 このように再エネ普及を推進する政策が世界各国で進められたおかげで、再エネによる発電施設の建設が進み、再エネ発電に大幅なコストダウンがもたらされました。そして今や、世界の総発電量に再エネが占める割合は24%(2016年末時点)。国や地域別にみると、EUでは既に約3割の電力が再エネでまかなわれるほどになっていて、中国25%、日本16%、アメリカ14%と続きます。いずれの国でも年々再エネの比率は増加しているのです。
発電に占める再エネ比率の増加の推移と、再エネ比率100%という値を、2000年から2100年までのグラフに表してみました。再エネ発電100%の未来は、もうじきやってくるようにみえるでしょうか?
「再エネ電気」を調達する4つの方法
RE100の参加企業は、二酸化炭素排出ゼロの世界を実現するために、自社で使う電気を全て再エネ起源のものにしようと努力しています。再エネ電気を調達するにはどのような方法があるのか。ここでは4つの方法を紹介します。 1つ目は、再エネの発電施設を自前で持つことです。例えばリコーは、米ニュージャージー州に販売統括本社を持っていて、そこに太陽光発電システムを設置し、必要な電力の半分を同じ敷地内に降り注ぐ太陽光から得ています。これは家庭の場合で考えると、自宅の屋根の上に太陽電池パネルを取りつけるようなイメージです。 自前の発電施設を持つことは、まとまった金額の初期投資が必要なので、企業にとっても家庭の場合でも一番ハードルが高い方法でしょう。でもおおもとのエネルギーはタダで手に入るため、長い目で見れば、もっとも高いコストパフォーマンスが期待されますし、なにより、自然エネルギーを集めて使っていることが実感できます。