反撃能力の保有「相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力となる」岸田首相会見12月16日(全文1)
岸田文雄首相は16日、官邸で記者会見を行った。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは「岸田首相が会見 新たな安保3文書を閣議決定(2022年12月16日)」に対応しております。 【動画】岸田首相が会見 新たな安保3文書を閣議決定(2022年12月16日) ◇ ◇
世界は歴史的分岐点にある
司会:ただ今より、岸田内閣総理大臣の記者会見を行います。初めに岸田総理から発言がございます。それでは総理、よろしくお願いいたします。 岸田:はい。本日、新たな国家安全保障戦略、国家防衛戦略、および防衛力整備計画の3つの文書を閣議決定いたしました。私はかねてより、世界は歴史的分岐点にあると申し上げてきました。この30年間、世界はグローバル化が進展し、世界の一体化、連携が進んできました。しかしながら近年、国際社会におけるパワーバランスの変化などによって、国と国の対立、むき出しの国益の競争も顕著となり、グローバル化の中での分断が激しくなっています。 国際社会は協調と分断、協力と対立が複雑に絡み合う時代に入ってきています。その分断が最も激しく現れたのがロシアによるウクライナ侵略という暴挙であり、残念ながらわが国の周辺国・地域においても、核・ミサイル能力の強化、あるいは急激な軍備増強、力による一方的な現状変更の試みなどの動きが一層顕著になっています。
今後5年間で43兆円の防衛力整備計画を実施
今年1年間を振り返っても、5年ぶりに弾道ミサイルが、わが国上空を通過いたしました。わが国のEEZ内に着弾する弾道ミサイルもありました。さらに、核実験に向けた準備の兆候もあります。そして有事と平時、軍事と非軍事の境目が曖昧になり、安全保障の範囲は伝統的な外交、防衛のみならず、経済、技術などにも広がっています。この歴史の転換期を前にしても、国家・国民を守り抜くとの総理大臣との使命を断固として果たしていく、こうした決意を持って、昨年末から18回のNSC、四大臣会合での議論を重ね、新たな国家安全保障戦略の策定と、防衛力の抜本的強化を含む安全保障の諸課題に対する答えを出させていただきました。 今後5年間で緊急的に防衛力を抜本的に強化するため、43兆円の防衛力整備計画を実施する。令和9年度には抜本的に強化された防衛力と、それを補完する取り組みを併せてGDPの2%の予算を確保する。そのための安定した財源を確保する。この結論に至る過程においては、国家安全保障局等におけるヒアリングや、有識者会議を通じてさまざまなご意見をいただきました。自公の与党ワーキングチームにおいても、率直かつ精力的な議論をいただきました。さらに、日本維新の会や国民民主党からもご提言をいただきました。日本と国際社会の平和と安全を願う全ての皆さまの、真摯なご協力に感謝を申し上げます。 もちろん国民の命、暮らし、事業を守り抜く上でまず優先されるべきは、わが国にとって望ましい国際環境、安全保障環境をつくるための外交的努力です。今後とも自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を重視しつつ、日米同盟を基軸とし、多国間協力を推進する積極的な外交をさらに強化していきます。 同時に、外交には裏付けとなる防衛力が必要であり、防衛力の強化は外交における説得力にもつながります。その上で今回、防衛力強化を検討する際には各種事態を想定し、相手の能力や新しい戦い方を踏まえて、現在の自衛隊の能力でわが国に対する脅威を抑止できるか、脅威が現実となったときにこの国を守り抜くことができるのか、極めて現実的なシミュレーションを行いました。