パフェは、私にとってはアート。その場限りのはかなさもいいです。
パフェには、創り手が生み出す物語がある。
ラウラ パフェの専門店を作りたいと思ったのはなぜなんですか? 宮田 パフェのためというより、デザートのため。私はずっとレストランでパティシエとしてやってきた経験から、フレンチのコースのデザート以降を切り取ったお店を作りたかったんです。お鮨や焼き鳥ってデザートが弱いですよね。ならば、本格的なデザートと食後酒が楽しめるお店があってもいいじゃないかと思ったし、夜だけ営業するこういうカウンター形式にすれば、お客さんの目の前でパフェやデザートを作りながら「この生産者さんはこんなところにこだわっていて」とバックグラウンドをいろいろ話せる。商品に付加価値をつけて、ここでしか提供できない、味わえない、そんな体験をしてもらえたらと。
ラウラ まさにそのとおり。ライブ感というのかな、パフェを食べに来ているんですけれど、体験型イベント的な楽しさがある。真代さんは手を動かしながらおしゃべりもできるのがすごい。 宮田 私はそこがけっこう得意なところで。強みを活かしながら、よりよい素材の組み合わせを提供できたらいいなというのがお店のコンセプトですね。 ラウラ 私がパフェを好きな理由のひとつは、食べる順番がある程度決まっているところなんですよね。
宮田 平皿で出すフレンチのデザートをアシェットデセール(皿盛りデザート)と言いますけれど、たとえば秋だから紅葉のお皿を使って……と季節感を自分なりに演出して盛りつけても、わりとお客さんに伝わらないのは悩みだったんですね。 ラウラ 平皿よりもパフェグラスのほうが、創り手の意図というか物語が見えて、なんかワクワクします。 宮田 私はお出しするときに「上から順番に召し上がってください」とか「途中で混ぜて召し上がってください」とか、そのパフェによって食べ方を言うようにしているんですよ。 ラウラ パフェって映画みたいだなと思っていて。アート性がある。だから私はパフェを人とシェアしない主義。映画に行って、どこかのパートだけ観ないとかあり得ないですよね。