「コロナが終息しても、ずっとリモートワーク」を“ちゃぶ台返し”と悲しむ声も…それでもLINEヤフー「フルリモート廃止」は当然といえる理由
2010年代の会社シーンと比較すれば、リモート会議は日常的に行われるようになりましたし、リモート出勤者の退勤管理も普通に行われています。仕事はチャットを活用して行われるので呼びかけに応じない社員がいればすぐに判明します。 導入黎明期の課題としては管理できるのかということと、社員を評価できるのかの2点が経営面の課題でした。SNSでテーマパークで遊びながら仕事をする社会人が話題になったことがありますが、アトラクションにライドするぐらいの短時間のサボりが技術的な限界で、仕事中に買い物に出かけたり映画を見に行ったりは難しい。まあ飲酒勤務は酔っぱらわない限りはばれないと思いますが(運輸業などを除く)、管理という面ではリモートワーク制度は整備が進みました。
■リモートでの管理と評価の問題はクリアしたが… 評価の面でもそれぞれの社員に要求する業務や、求める能力が言語化されてきていて、それに対して半年でどこまで到達しているのかはリモートでも一定の評価方法が定着してきました。 以前、2010年代の会社シーンでは、出社していても仕事をしているふりをしているだけでネットサーフィンをしていてもばれないような会社もあったのですが、リモートワークが定着すると逆にずっとパソコン画面を注意して見ていないといけなくなり、むしろさぼりにくくなったという意見があるぐらいです。
もちろん出社時とは違って、服装がルーズでいいとか、姿勢はソファに寝転がってとか、全体的にだらける傾向にはあるようですが、だらけと生産性は別問題です。自宅だとうるさくて仕事に集中できないという社員の場合、積極的に出社を選べるなど制度にも柔軟性が加わりました。 このように管理と評価の問題がクリアされたことで、生産性という視点では実はリモートワークのほうが会社にとって都合がいい場合も散見されるようになりました。
ではそこまで進化したリモートワークがGAFAを中心に縮小の流れにある理由は何なのでしょうか? 一番大きな問題として挙げられるのは、コミュニケーション不足にともなうチームワーク力の低下のようです。 会社は人間の組織である以上、組織力というものは重要な経営要素です。日常的に顔を合わせてさまざまな摩擦が生じることで逆に結束が強まりチーム力が生まれるといった効果には社会学的には無視できないパワーがあります。