「コロナが終息しても、ずっとリモートワーク」を“ちゃぶ台返し”と悲しむ声も…それでもLINEヤフー「フルリモート廃止」は当然といえる理由
まず最初に世界の趨勢を整理しておきましょう。GAFAの状況を整理すると、どこもフルリモートを廃止しています。グーグル、アップル、アマゾンは週3回の出社を義務付ける制度に変更していて、これが大手IT企業のある種の基準となっているようです。 メタのザッカーバーグCEOはさらに踏み込んで「週の大半をオフィス勤務するように」としていますし、イーロン・マスク率いるXとテスラは「最低週40時間のオフィス勤務を要求」していてこれに従わない場合は辞職を求めています。
そもそも雇用契約としてこのような制度変更はどうなのかという疑問がわく方もいらっしゃるかもしれませんが、GAFAの場合は出社とリモートワークに関する細かいルールが設定されていて、制度変更含めて基本的には合法的(アメリカなので裁判での係争は可能ですが)に制度が設計変更されています。 ■フルリモート廃止が世界の趨勢になぜなった? GAFAにしてもLINEヤフーにしても、根本的にはビジネスをやっている組織なので、経営の前提が変化すれば経営者が制度を変えようとするのは当然のことではあります。
イーロン・マスク氏の40時間出社強制はオーナーとしての強権発動の側面が強いと思われます。裁判で係争になるケースも増えますが、経営スタイルとしてそれらの摩擦を乗り越えてでもオーナーにとって理想的な会社組織に持っていくという哲学に基づいた行動です。 前の経営者との約束を反故にしてでも前に進む、それに伴う訴訟や賠償のコストは織り込むというスタイルであり、これはこれでひとつの極端なやり方だと考えるべきでしょう。
さて、世界の趨勢をこのように整理したうえで、頭に浮かぶいくつかの疑問を整理しておきましょう。 ・なぜフルリモート廃止が経営の前提として世の中の趨勢になってきたのか? ・LINEヤフーの場合、今後週1回よりも状況がエスカレートする可能性はあるのか? ・制度変更を嫌って優秀な社員が去っていくリスクをどう考えるべきか? それぞれについて考えてみましょう。 まず一番目のフルリモート廃止の動きから解説します。前提としてリモートワークに関する運用面の弊害については、2024年時点でほぼほぼ解決されつつあります。