自民総裁選 所見発表演説会(全文1)再エネ100%も絵空事ではない
デジタル遷都の議論ができる時代
それならばこのテレワークを使って今までの東京一極集中を逆回転させる、地域にどんどん人口を出ていってもらう、東京の賃金体系を地域でも働けるようにする、そういう雇用を生み出していく、それを全力を挙げてやってまいりたいと思います。 民間企業でできるんだったら霞が関はもっと本気で取り組まなければなりません。霞が関がみんなテレワークができる。前回のようにどこかへどこかの省を移すのではなく、霞が関がみんな好きなところで仕事ができる。実家へ戻る人もいれば両親の介護をやりながら仕事をする、あるいは私はこういうのが趣味だからここで働きたい、そういうことが実現できるようになる。霞が関がそうやってテレワークができるようになれば、万が一、東京に大地震が来ても、この霞が関の機能はデジタルの世界できちんと維持されます。 もう遷都の議論ではない、デジタル遷都の議論ができる、そういう時代になりました。全国津々浦々に5Gのネットワークを広げていく、そういう投資をしっかりとやらなければいけない。あるいは東京から社員が地方へ移った企業には法人税を減税します、そういうことをやってもいいのかもしれません。 気候変動、いや、もはや気候危機といわれる時代になりました。再生可能エネルギーを最優先に、最大限に入れていかなければなりません。そのための必要な投資を政府が率先して行っていきたいと思っています。蓄電池であったり、送電網の整備、連系線の整備であったり、あるいは洋上風力を実行するために必要な港の整備であったり船舶の建設。あるいは今、ガラスで太陽光発電ができるようになっている、あるいは道路に敷いたもので太陽光発電ができる、そんな技術ができています。私の地元では波の力で発電をする企業が立ち上がりました。
守るべきは年金制度ではなく将来の年金生活
再生可能エネルギーのさまざまな技術の種が出ています。それを全面的にバックアップして、気候変動にも取り組むし、日本の経済、日本の産業の新しい芽になって育っていってくれる。そしていつの日か再生可能エネルギー100%でこの国のエネルギーを回していくことだって私は絵空事ではないと思っています。 今、多くの農家は米価や人口の減少に不安を抱いていらっしゃいます。しかし日本の高い品質、この高い品質は農作物にも当てはまる。品質の高い付加価値のある、そんな農林水産業の伸び代は、私は非常に大きいんだと思います。それを現実にするためのさまざまな技術を農業や林業や水産業に取り入れていく、その後押しをしっかりとやっていきたい。 アベノミクスで経済、大きく動きました。しかし、残念なのは企業の利益は大きくなったけども、それが賃金に波及しませんでした。これからは企業の利益から個人の所得に視点を移す、そういう時期に来ていると私は思っています。企業が社員の賃金を上げる、労働分配率を上げていったら、法人税を減税する。そういうインセンティブを付けて、賃金をしっかりと上げていく。その努力をしていきたいと思っております。 そして何よりも私がやらなければいけないと思っているのが社会保障の改革、特に年金の改革です。以前の年金改革によって年金制度は将来にわたって維持されるんだ、そういわれています。しかし、今の制度でマクロ経済スライドを発動していったら、将来のもらえる年金の金額はいったい幾らになってしまうんでしょうか。私たちが守らなければいけないのは年金制度ではありません。今の若い世代が、あるいはその次の世代が年金をもらうときに、彼らがしっかりと生活できるのか。守るべきは年金制度ではない。守るべきは将来の年金生活なんです。 制度が維持されるからそれでいいということにはなりません。今こそ国民の皆さんを議論の輪に入っていただいて、これはもう全ての国民の皆さまに関わることですから、分かりやすい説明をすることで何が問題なのか、どういう選択肢があるのか、それをきっちりとお示しをして、年金生活を守るための年金、これをつくる。これが私は一番、今やらなければいけないことだと思っております。