サッカーマニア平畠啓史の2024年J2総括 清水&横浜FCの強さとJ1昇格プレーオフの展望
【全員の守備意識が高い岡山】 リーグ5位のファジアーノ岡山は、29失点と失点がリーグで2番目に少ないチームです。守備力といっても、ガチガチに守るというより、シーズンを通して前線から全体の守備の意識の高さが感じられました。3バックは真ん中の田上大地選手が本当にいいんですよね。相手が縦パスを入れた時の強度が高い! 今季の補強でいうと、やっぱりGKのスベンド・ブローダーセン選手がでかいですね。ビッグセーバーというか、チームを勢いづけるセーブがすごく多い。 ブローダーセン選手がミックスゾーンで、リーグ戦が残り2試合の時に日本語で「残り4試合」って言ってたんですよ。すごいなと思って。そういう意識で戦ってるし、それを日本語で伝えられる選手が後ろにいるのは大きいですよ。 ベタに言うと、山形と岡山の試合は「ほこたて」対決みたいな感じになるのかなと。山形の攻撃力と岡山の堅い守備がぶつかる。山形はたぶんそんなにやり方を変えてこないと思うんですが、岡山の木山隆之監督は、なにか仕込んでくるのではないかと。 例えばセットプレーは、山形の守り方をかなり研究してすごいこと企んでくるんじゃないかとか、サブのメンバーでちょっと意外な選手を起用してきたり。「あれ? このシステム使ってるの見たことない」みたいなのをやる可能性が一番高いのが、岡山だと思います。そこはめっちゃ楽しみです。 あとは個人的に勝手に思ってることですが、両クラブとも選手入場の時にサポーターの方が『オーバー・ザ・レインボー』を歌うんですよ。だからオーバーザレインボーダービーって側面もあるなと。2022年に競技規則の適用ミスで再試合もあって、ちょっと因縁めいてるし、今シーズンも2試合とも引き分けなんですよね。 普通に考えたら、攻撃的な山形のほうに分があるような気もします。だけど僅差のゲームになると思います。 後編「平畠さんが今年も発見! 2024年J2で面白かった選手6人」>>
池田タツ●取材・文 text by Ikeda Tatsu