ワクチン接種進んでも「クラスターは時々起きる」 尾身会長、手洗い・マスク着用は継続を
政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長は5日、首都圏の「緊急事態宣言」を2週間再延長すること受けた会見で、今後ワクチン接種が一定程度進んでもクラスター(感染者集団)は時々起こるとの見通しを示し、手洗いやマスク着用などの基本的な感染対策は継続する必要があると指摘した。 【Q&A】「ワクチン」の効果とは? 「有効性95%」って?
発症・重症化予防に「かなり有望なワクチン」
日本で現在承認され、接種が始まっているのは米ファイザー製のワクチンで、厚生労働省などのサイトによると、発熱やせきなどの症状を95%の有効性で防ぐ効果が認められるなど、発症予防や重症化予防に効果があるとされている。一方で、感染そのものを予防する効果については、現時点では十分なエビデンスがなく「あるかないか確認できていない」状態だと田村憲久厚生労働相は会見で説明している。 尾身会長は「今回のワクチンはかなり有望なワクチンだと思う。予想したよりも比較的安全だし有効」だと発症予防、重症化予防に関して評価した。 しかし今後、仮に国民の7割がワクチンを接種したとしても、残りの3割は打っていない状態であり、その後も「クラスターは時々起きる」との見方を示した。 「これは神のみぞ知る。正確なことは分からないが、私の判断では、仮に今年の暮れぐらいまで希望者の6割、7割が打ったとしても感染は時々は続く。ゼロにはならない」 さらに「ワクチンを打ったからと言って、基本的な手洗いやマスク(着用)とか、そういうことをやらなくていいことにはならない」と指摘。ワクチン接種がある程度進んだ後も基本的な感染防止対策は続ける必要はあるとした。「ワクチンに関するリスクコミュニケーションは極めて重要」だと述べ、国や自治体のリーダーに対しては、副作用などの情報とともに、こうした情報も「伝えていただければ」と求めた。
6月末までに全高齢者の接種分「配送したい」
ワクチンは現在、医療従事者への優先接種が始まっている。今後のスケジュールについて菅義偉(よしひで)首相は「4月12日から高齢者への接種を開始し、6月末までに65歳以上の高齢者全員に2回接種するワクチンの配送を行いたい」との方針を示し、「1日も早くすべての国民の皆さんに安全で有効なワクチンをお届けしたい」と語った。