Facebook やTikTokで横行する「なりすまし広告」にブランドは困惑。メタは問題を放置?
巧妙化するなりすまし
腹を立てた人々からのカスタマーエクスペリエンスチケット(CX ticket)はピーク時には週に約1000件にのぼり、現在までに合計約5000件に達した。さらにグラナ氏によると、これらのなりすましアカウントはますます巧妙になってきており、しばしばウェブサイトのURLを変更することで、多くの検出手段から逃れているという。 これらのアカウントのなかには、わずか数ドルでナチュラルライフの商品を販売すると宣伝しているものもある。サイト全体や「在庫一掃セール」を実施していると謳うアカウントもある。ナチュラルライフは、このような詐欺アカウントの多くが宣伝しているような「90%オフ」を実施することはほとんどない。 ナチュラルライフは定期的に、このようななりすまし広告に引っかからないためのヒントを投稿している。同社が提供しているヒントのひとつは、Facebookやインスタグラムで青いチェックマークがついている認証済みアカウントとのみやり取りすることだ。 ある顧客は最近、「カートいっぱいに商品を入れてから、偶然ウェブアドレスに気づいた。すぐに買い物を取り止めて履歴を削除した。嘘みたいに条件が良いときは、それはおそらく嘘だ」とインスタグラムにコメントした。偽のFacebookアカウントを通報して削除を求めている顧客もいるが、メタからそれらのアカウントは何のポリシーにも違反していないとの回答を受けているとグラナ氏は話す。
「メタは十分な対策を行っていない」
ブランドと協力してこのようなサイトがないか詳しく調べているあるベンダーによると、この問題は深刻化する一方だという。なりすまし広告や商標権侵害に特化したプロバイダであるブランドベリティ(BrandVerity)は、数百ものeコマースブランドと協力し、なりすまし広告がないかウェブ上を詳しく調べている。 ブランドベリティで地域販売の責任者を務めているデビッド・イグレシアス氏は、同社サービスに対する需要はここ1年半から2年のあいだで急増したと語る。「まずはこのアクセスがどこから来ているのかを特定し、その次にそれを阻止するために必要な対策を取る」と同氏は言う。メタ、Google、TikTokなどの各社は、それぞれ報告の仕組みが異なっている。 イグレシアス氏は、これらのプラットフォームがすぐに問題を完全に撲滅させることはないと考えている。「もちろん、それは当社のような企業にとって理想的な状況ではないが、これまでのところプラットフォームは、このような問題のある広告の削除をクライアントに任せてきた」。 ナチュラルライフは最近、ボンバスなどほかのブランドにアドバイスを求めたとヒューズ氏は語った。「これらのブランドは、これが根強い問題だということを理解してくれていて、発生したすべての実例をメタに毎日報告することを勧めてくれた」。 メタはなりすまし広告を検出するため役立つツールを提供しようと努力しているものの、ブランド各社はテック大手であるメタは十分な対策を行っていないと主張している。 「当社に対してメタの担当者はきちんと対応してくれないので、非常に不満だ」とザ・ヒッピー・シェイクのヘッション氏は語る。「我々はブランドの権利保護プログラムに登録し、これは役に立っている。しかし、このプログラムは多くの時間を要する。小規模なブランドにとって時間は非常に貴重なものだ」と同氏は続けた。広告の削除には通常2日から3日が必要で、「どうしてもさらに多くの広告が出現してしまう」という。 ザ・ヒッピー・シェイクは、顧客が安心して自社ブランドで買い物できるように何度も認証マークの取得を試みているが、却下され続けているとヘッション氏は話す。「これはメタが当社のためにできる最低限のことだと感じている。詐欺に遭った人々の話を聞いて、当社から買い物をすることに不安を感じている顧客もいるからだ」。