Facebook やTikTokで横行する「なりすまし広告」にブランドは困惑。メタは問題を放置?
英国を拠点とする70年代に着想を得たアパレルブランド、ザ・ヒッピー・シェイク(The Hippie Shake)は、今年1月末にFacebookで自社商品を広告しているなりすましアカウントをはじめて目にした。 創設者でマネージングディレクターを務めるベン・ヘッション氏は、この問題が小規模なブランドにとって「苦痛」であり、波状攻撃を仕掛けてくるようだと米モダンリテールに語った。
「なりすまし」の仕組み
仕組みは次のようなものだ。Facebookで誰かがザ・ヒッピー・シェイクの商品をあり得ないような割引価格で宣伝している広告を目にする。そのユーザーは、多くの商品画像や送料無料を宣伝するバナーなどを備えた、正規のブランドページのように見せかけた別のウェブサイトに誘導される。 ユーザーは割引を利用するため急ぐあまりに、ウェブサイトのURLがザ・ヒッピー・シェイクの本物のウェブサイトではない詐欺サイトであることを見逃してしまう。注文確認メールが届かないことから何かがおかしいと疑いはじめたユーザーの誰かがザ・ヒッピー・シェイクに怒りのメールを送り、そこでだまされたことにようやく気づくのだ。 Facebook、インスタグラム、TikTokなどのサイトで、このようななりすまし広告の報告を受けるオンラインブランドは多く、ザ・ヒッピー・シェイクもそのひとつだ。 ニューヨークタイムズ(The New York Times)は昨年、ボンバス(Bombas)やロージーズ(Rothy’s)などのブランドがこの問題にどのように対処しているかを調べた。顧客がこのような詐欺に引っかかり、偽造品を注文してしまうケースもあれば、前述のように何も受け取れないこともある。
なりすまし広告に対処せざるを得ないブランド
ブランドは、その問題に対処することを余儀なくされる。たとえブランド側に責任がないとしても、一部の顧客はブランドに裏切られたと感じたり、そのブランドから再度注文することを躊躇したりするかもしれないからだ。 しかし、ブランドになす術はほとんどない。顧客に対して、クレジットカード会社に連絡するよう助言するか、今後このような詐欺を避けるためのヒントを教える程度だ。 別の対策は、疑いを持っていない顧客が騙される前にこれらのなりすまし広告を削除してもらうことだ。ブランドは現在のところ、メタ(Meta)の「ブランドの権利保護(Brands Rights Protection)」ツールを使用し、Facebookやインスタグラムのなりすまし広告、ブランドに偽装したアカウントやページを通報し、自社の知的財産を保護することができる。また、Facebookショップ、Facebookマーケットプレイス(Facebook Marketplace)、販売グループ(buy-and-sell group)もこのツールによる保護対象である。 しかしプログラムに参加しているブランドのなかには、このツールを使用しても、わずかな変化か何も改善されなかったと報告している。これらのブランドは代わりに、主に手作業による検出とフラグづけに頼っている。米モダンリテールの取材に応じたいくつかのブランドによると、この種のツールは今のところ、なりすまし広告との戦いのごく表面に触れただけにすぎないという。 このプログラムがどのように機能しているのかについて、メタにコメントを求めたが回答は得られなかった。