一時「1ドル=153円」に反落も…金利差の縮小に関係なく、投機筋による「円売り」が進むワケ【国際金融アナリストの見解】
先週は、一時「1ドル=153円台」に米ドルが反落する場面もあった「米ドル/円」。投機筋の行き過ぎた米ドル買い・円売りへの修正が主因とされているが、「日米金利差の米ドル優位・円劣位が縮小されても、投機筋の円売りには影響しない」と、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は言います。その理由と、今週の相場の展開予測を詳しく見ていきましょう。 【画像】「30年間、毎月1ドルずつ」積み立て投資をすると…
5月21日~5月27日の「FX投資戦略」ポイント
〈ポイント〉 ・先週は、一時153円台へ米ドルが反落する場面もあった。投機筋の行き過ぎた米ドル買い・円売りの修正が主因か。 ・最近の米ドル/円は投機円売りの動向次第。大幅な金利差の「米ドル優位・円劣位」が長期化するなかで、圧倒的に有利な円売りが「バブル化」。さらなる円売り余力が限られる一方、行き過ぎた円売りの修正で、円高になるリスクもある。今週の米ドル/円は、153~158円のレンジで予想。
先週の振り返り=153円台へ米ドル反落の理由は?
先週の米ドル/円は、前週からの流れを引き継ぎ、前半は上昇が続きました。ただ、水曜日の米4月CPI(消費者物価指数)発表を前後して下落に転換、一時は156円台から153円台へ約3円と、比較的大きく米ドル安・円高に戻す場面もありました(図表1参照)。 これは、注目された米CPIが予想より弱い結果となり、米金利が低下し、日米金利差の「米ドル優位・円劣位」が縮小したことへの反応だったと言えます。ただ、この金利差の縮小は、実は前週から起こっていました。ところが、それを尻目に、CPI発表前までは米ドルは続伸しました(図表2参照)。それではなぜ、CPI発表後の米金利の低下、金利差の縮小に対して、「米ドル安・円高」の反応となったのか。 そもそもCPI発表前まで、日米金利差の「米ドル優位・円劣位」が縮小傾向を続けるなかでも米ドル続伸となったのは、イエレン米財務長官の日本の為替介入をけん制したと見られる発言などを手掛かりに、投機筋が米ドル買い・円売りを継続した影響が大きかったと考えられます。例えば、CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、先週火曜日の時点で売り越し(米ドル買い越し)が12万枚となり、高水準を維持していました(図表3参照)。 先週半ばにかけては、日米金利差の「米ドル優位・円劣位」の縮小にもかかわらず、投機筋が米ドル買い・円売りに動き、その流れで米ドル/円も上昇が続いたということでしょう。それにしてもなぜ、投機筋は、金利差が縮小する最中、米ドル買い・円売りを継続したのでしょうか?