“あの動物たち”は「式神」、「ポポポポ~ン」の生みの親が語る公共広告の裏側 #あれから私は
ACとは
そもそも、こうした公共広告を統括しているACジャパンとは何者なのか。公益社団法人ACジャパンの東京事務局次長の勝村久司さんに話を聞いた。 「ACジャパンは、1971年に発足した民間の広告の団体です。社団法人になって40年以上、500以上の公共広告キャンペーンを展開し、さまざまな公共広告を世に送り出してきました。公共広告は毎年、約20本制作しています。7月1日から毎年新しいキャンペーンが始まり、そこから1年間、それらのCMを会員各局に使ってもらうわけです。『あいさつの魔法。』は、2010年度分(2010年7月~11年6月放送分)としてつくられた作品のうちの一つでした」 勝村さんによれば、ACジャパンのCMは、下記の流れで作られる。 年末に1年のテーマを決定し、全国の広告会社に伝達する。その後、コンペを行い、2月の頭までに第1次審査、第2次審査、最終審査を経て、採用CMが決定。ゴールデンウィークまでに制作されたCMを6月中に各局に納品すると、7月1日から、随時オンエアされる。 つまり、実際に「あいさつの魔法。」が集中的に放映されたのは、2~3カ月間であり、思ったほど長くはなかったのではないか、と勝村さんは言う。それでも「ポポポポーン」は鮮烈な印象を残したのだ。
“ポポポポーン”がどれくらいの回数流されたのかについて「基本的にACジャパンが行っているのは、“広告素材の制作”です。納品先のテレビ局や新聞社もACの会員であり、納品したあとは、それぞれのご判断で、無料で放送・掲出していただくことになっています。ですから、たまに『あいさつの魔法。』は震災後何回放送されたか、私たちの方でそれをカウントするような仕組みはなく、正確な回数等は、こちらでも把握できないんです」と勝村さんは言う。
「あいさつの魔法。」ができるまで
「ポポポポ~ン」生みの親の一人、東急エージェンシー北海道支社のクリエーティブ・ディレクター・若浜明子さんは、同広告を企画した背景について、こう振り返る。 「いつか子ども向けの広告をつくってみたいという思いがありました。特に低年齢向けというお題だったので、一番わかりやすい『あいさつ』をテーマに案を出しました。あいさつはこれまでマナーの励行として捉えられていたと思うのですが、『あいさつをしたらもっと友達が増えるよ、人との距離を近づける道具になるんだよ』というのがコンセプトでした」 子どもの心に響く、何かキャッチーなことばを音楽にのせたい。ユニークな擬音をつくることはできないかと「パピプペポ」を使ってアイデアを出し合い、生まれたのが「ポポポポ~ン」だった。