世界が注目する建築家・石上純也の代表作10選。型破りなデザインの魅力とは?水庭から洞窟レストラン、湖に浸かった美術館まで。
【6】family chair
石上さんがデザインした家具のなかでも、一般に市販されているものをご紹介しましょう。イタリアの高級家具ブランド「LIVING DIVANI」から2010年に発表された「family chair」。 “家族のように調和する椅子” をコンセプトに、5種類それぞれ異なる形状でデザインされています。 シート部分はメッシュ状に編まれたスチール素材。樹脂塗装のインドア仕様と、エレクトロ・コーティングがほどこされたアウトドア仕様があり、それぞれのシートに合わせたクッションをオプションで選ぶことができます。 暮らしのなかに石上作品を取り入れてみませんか?
【7】木陰雲/東京都千代田区
読み方は「こかげぐも」。2021年に開催されたパビリオン・トウキョウ2021(Tokyo Tokyo FESTIVAL スペシャル13)において、旧山口萬吉邸の庭園にかつて設置されたパビリオンです。 焼杉の技術を用いて炭化された木の柱と屋根が、既存の樹木の合間を縫うようにかけられています。 この屋根には無数の穴が開いており、庭に木漏れ日が差し込みます。穴や柱の位置は、事前に幹や枝の位置を測量して決められたもの。 この邸宅の周辺環境は昭和初期から現代にかけて高層ビルの建設で様変わりしました。この「木陰雲」はそうしたビル群を覆い隠すようにかかり、庭に落ちる木漏れ日を美しく強調しているのです。 所在地:現存せず
【8】ファイバースブルク・ビジター・センター/オランダ
ここからは石上さんの海外作品をご紹介していきましょう。 石上さんが初の海外コンペ勝利により実現したのが、ファイバースブルク・ビジター・センターのプロジェクトです。 オランダ ズワールテウェセントにある、19世紀に設立された公園に建つヴィラの改築・増築、および新しい建物の計画を手掛けました。 公園自体が歴史的重要文化財であり、緑地帯や池など既存の環境に手を加えてはいけないという厳しい条件のなか、石上さんは既存の散策路に着目。 散策路がそのまま立ち上がったような建築を設計しました。驚くべきは柱がなく、75mもの長大なガラススクリーン自体が構造体を担っていること。 透明感のあるガラス造とすることで、美しい公園のランドスケープのなかに溶け込むような空間を実現しています。 所在地:Swarteweisein 2, 9255 JB Tietjerk, オランダ