日銀・黒田総裁会見3月19日(全文2)点検で金融緩和の持続性・機動性増した
日銀の黒田東彦総裁は金融政策決定会合後の19日午後、記者会見を行った。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは、「日銀・黒田総裁が会見 金融緩和継続、政策を見直し(2021年3月19日)」に対応しております。 【動画】日銀・黒田総裁が会見 金融緩和継続、政策を見直し(2021年3月19日) ◇ ◇
物価安定の目標は達成できる
黒田:今回の点検では、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の持続性、機動性が増したと、そういうふうに考えておりまして、こうした下で強力な金融緩和を粘り強く続けることによって2%の物価安定の目標は達成できるというふうに考えております。 2番目の点につきましては、先ほど申し上げたとおり足元、特にコロナ感染症の影響に対する対応として、新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム、それから国債買い入れやドルオペなどによる円貨および外貨の上限を設けない潤沢な供給、それからETF、J-REITの大幅な買い入れといったようなこと、こうしたことで企業の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めているわけですけれども、これは別に2%の物価安定目標を差し置いてということではなくて、むしろそういう形で経済の安定、維持を支援することによって、経済の回復と物価安定目標の達成をより可能にしていくということでありまして、市場安定の足元での対応と物価安定目標の達成ということはまったく矛盾するものではなくて、いわば表裏一体というか、足元の状況の下で2%の物価安定目標を達成するためにも、こういった形で企業の資金繰りを支援し、金融市場の安定、維持をするということが必要だというふうに考えております。
上限を残した理由は?
読売新聞:読売新聞の【トダ 00:29:33】と申します。2点お伺いします。まず1点目なんですけれども、ETF、J-REITについては機動的な買い入れをするということだと思うんですけれども、だとするとこの上限の12兆、J-REITで言うと1800億円、これを撤廃するという考え方もあると思うんですけれども、これを残した理由はなんでしょうか。これが1点目です。 もう1点目なんですけれども、貸出促進付利制度なんですが、これは金融機関の副作用対策、収益悪化を考慮するということだと思うんですけれども、だったらマイナス金利政策自体をやめればいいんじゃないかという考え方もあると思うんですが、新しい制度を設けることによって、より日銀の政策が分かりにくくなるんじゃないかという意見もあると思うんですが、その点についてどう思いますか。 黒田:昨年の3月でしたか、コロナの影響で市場が非常に不安定化したときに、ETF、J-REITの従来の買い入れの上限を倍増して、ETFについては12兆としたわけですが、そのとき、おそらく年率12兆近いラインで、ほとんど12兆ぐらいのペースで買い入れていたと思いますが、それによってあのような市場の不安定化もかなり急速に収束されたということがありまして、今後ともコロナ感染症の収束があったとしても、どのようなショックが来るかも分からないので、あのときに最大限の効果があった12兆円という上限を維持して、その中でめりはりを利かせて、弾力的、柔軟に必要に応じてETF、J-REITを購入していくということにしたものでありまして、数字を言わないというのは別にそうしたからといって何か特にETFとかJ-REITの買い入れがより柔軟に行えるということではなくて、十分な大きさの上限を示すことによって、その範囲でかなり大胆に、大規模に購入をするという姿勢を示したということだとご理解いただきたいと思います。 なお、この付利制度については、先ほど来申し上げているとおり、まさに今マイナス0.1%という政策金利と10年物国債の金利を0%程度というところで適切なイールドカーブができるように、満遍なく短・中・長期・超長期という国債の買い入れを行っているわけですけれども、この政策金利のマイナス0.1%というマイナス金利というのは、やはり現在のイールドカーブ全体を低位にして、経済を支え、経済を刺激し、2%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するための金融緩和政策のイールドカーブ・コントロールの不可欠の要素でありまして、それ自体は緩和的な効果を十分持っていると思っております。