日銀・黒田総裁会見3月19日(全文2)点検で金融緩和の持続性・機動性増した
マイナス金利政策と整合的
そういう意味で、必要があれば長短金利をさらに引き下げる、政策金利のマイナス金利の深掘りを含めて行うという必要があればちゅうちょなくやりますけども、その場合に金融機関の金融仲介機能に影響が出るのではないかと。あるいは金融機関の収益に大きな影響が出るんじゃないかということで、マイナス金利の深掘りが、あるいは長短金利のさらなる引き下げが困難ではないかというような議論もありますけれども、われわれはそういうふうに考えておりませんので、当然必要があれば長短金利を引き下げるということであります。ただ、その際に金融機関の信用仲介機能を十分発揮してもらって、先ほど申し上げたようにインセンティブをさらに強化して、貸し出しをさらに進めていただくような付利制度を導入したわけでありまして、これはマイナス金利政策と整合的であるし、むしろマイナス金利政策をさらに強化しうるものであるというふうに考えております。
総裁の任期中に2%目標は達成できるか
TBSテレビ:TBSテレビの【ゴトウ 00:35:16】といいます。2点お願いします。まず1点目なんですが、物価上昇率2%が実現できていないことについて、16年の総括的検証では、原油価格や消費税率の引き上げなどの外的要因を具体的に挙げていて、今回は一方でデフレマインドからの脱却は時間が掛かるということを書いておりますが、これはどれぐらい時間が掛かって、いつ2%の目標を達成できるのか。例えば総裁の任期、23年4月までですけれども、それまでに達成できるのかなど、あらためて見通しを教えてください。 そして2点目なんですが、この長期金利について、資料の7ページの冒頭のほうで、過去6カ月の変動域が50bpsを超える場合を除けば金融緩和が設備投資に影響を及ぼす度合いはおおむね不変であるという理由を提示しておりますけれども、これを踏まえると、将来、長期金利のレンジを拡大する余地っていうのはもうないっていうことなんでしょうか。以上2点をお願いします。 黒田:まず前段のことにつきましては、総括的検証のときも基本的なことについては、要するに需給ギャップと、それから物価上昇、インフレ期待と、この2つの要素が、どこの国の中央銀行もそうですけども、この両者によって物価上昇率が規定されていると。そうした中で、わが国の場合は、インフレ期待の形成過程がいわば実際の物価が上がってくるとインフレ期待も上がる、物価が下がるとインフレ期待も下がってしまうという、米国のように例えば2%のところにインフレ期待がアンカーされているというところと若干違うということは指摘しているわけですね。 で、そうした中で、一時はもちろん実際の物価上昇率も1.5%ぐらいになり、インフレ期待も1.5%ぐらいになったんですが、その後、物価上昇率がかなり下がってしまったと。それは非常に大きい要素がやはり原油価格が、ご案内のとおり、120ドルぐらいから一時30ドルを割るぐらいまで大幅に下がって、それが消費者物価の上昇率を大幅に引き下げたと。それが適合的期待という形で、わが国のインフレ期待自体も引き下げて、物価の上昇率を下げてしまった。ただ、その下でも、一時的な要因を除けばプラスというのはずっと維持されてきて、今でも維持されているわけですけども。 そういう意味で、総括的検証のときと現在と違ったことを言っているわけじゃないんですけれども、ただ、インフレ期待の形成過程についてかなり詳しく今回分析して、適合的期待形成ではあるんですが、その適合的期待形成の中身をよく見てみると、かなり粘着的な要素が大きいということが明らかになったので、その点を指摘しているということであります。