日銀・黒田総裁会見3月19日(全文2)点検で金融緩和の持続性・機動性増した
変動幅を拡大する考えは持っていない
いずれにいたしましても、ご案内のとおり、欧米も含めて、実はリーマンショック後、ほとんど2%に達してないわけですね。で、わが国の場合も依然として2%に達してないっていうことは事実でありますけれども、そのことは点検の分析の中であるように、これまでやってきた金融緩和というもの、特に量的・質的金融緩和、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の効果がなかったということではなくて、需給ギャップを縮める意味でも、それからあるいは縮めるだけじゃなくて、むしろプラスにして大きくしたと。そしてGDPを、そうでない場合よりも引き上げていたと。で、物価上昇率もそうでない場合よりもかなり引き上げていたというような分析結果も出ていますので、点検でも詳しく申し上げているとおり、量的・質的金融緩和、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組み、2%の目標であれ、オーバーシュート型コミットメントであれ、基本的にこれを維持して続けていくということが適切であるということではあるんですけれども、その中でイールドカーブ・コントロールの運営について若干の改善というか、改正を今回点検で指摘したということであります。 それから長期金利の変動幅のことについては、これもかなり詳しく分析していまして、50ベーシスポイントぐらいの変動の中では、実質金利を下げる金融緩和の効果を阻害するものではないということは、かなり定量的に明らかになっているわけでありますので、そういったことも念頭に置きつつ、従来のプラスマイナス0.1%の倍程度、上下倍程度というものをより明確にしたということであります。逆に言うと何か変動幅を拡大するという考えは、今も持っていません。
TOPIX連動にした意味合いは
NHK:総裁、NHKの【ナガノ 00:41:59】です。2点お伺いします。1点目はETFをTOPIX連動にしたっていうのをもう少し詳しく理解したいなっていうのがあります。マーケットも反応していて、先ほど個別銘柄に偏らないようにというようなご説明もあったかと思いますし、点検の背景説明の中にもありましたですけれども、今や日本の最大株主は日限だよねって言われているような状況の中で、このTOPIX連動にした意味合いといいますか、狙いといいますか、そういうのをもう少し詳しくご解説いただければ幸いですというのが1点目の質問です。 で、2点目は、金融緩和の持続性を高めるための点検っていうのが必要な一方で、やっぱり金融緩和をやめるにやめられない状況を回避するためにも、一方でその出口を見据えた議論といいますか、そうした議論の必要性というのはないんでしょうか。なお時期尚早だということなんでしょうか。その辺の総裁のお考えをあらためてお聞かせいただければと思います。以上2点、よろしくお願いします。 黒田:TOPIXについては先ほど来、申し上げているとおり、個別銘柄にやはり偏った影響ができるだけ生じないようにということで、ここまでETFを、買い入れが進んでおりますので、個別銘柄に偏った影響ができるだけ生じないようにするということは、やはり必要なことだというふうに思っておりまして、指数の構成銘柄が最も広く多様になっているTOPIXに連動するものだけを買うということが、今申し上げたような個別銘柄に偏った影響が出ないようにするという観点から重要だと思いますので、そういった点が最も大きな必要性だというふうに思います。 2番目の点については、現時点でやはり出口を議論するのは、まさに時期尚早であると。別にコロナうんぬんっていうだけでなく、そもそも2%の物価安定目標がまだまだ実現されていない状況で出口のことを議論するっていうのはまったく時期尚早だし、適切でないというふうに思っております。