「大阪都構想」そもそも何? 住民投票まで1か月
都構想の背景 キーワードは「府市合わせ」
1つは、戦後70年以上続く大阪市、大阪府による二重行政のムダを排除し、「不幸せ(府市合わせ)」とも言われてきた両首長による二頭立て政治、司令塔不在の大阪を解消することだ。長らく業務中心地を大阪市政が握っており、大阪府全体の行政を担う府政といえども事実上大阪市域には手を出せなかった。 結果、狭い大阪市内に大学、産業施設、図書館、公会堂、ホール、研究所などの施設を府と市がそれぞれ設置し、二重行政が目に余るものだった。そうした一方で教育にカネが回らず、小中学校の学力低下が著しく全国ワーストワンに近かった。 もう1つは、東京一極集中の流れを変え、2眼レフ構造の日本をつくろうというもの。首都直下地震など大災害時の危機管理には、東京から物理的に離れた日本のどこかに新たに副首都を形成する必要がある。副首都は一極集中型の国土構造を変え、有事の際には、首都の代替機能を果たす。 まだ具体的な動きはないが、そのためには大阪を副首都と定め、主要省庁の3分の1は大阪に移し副大臣が常駐する、春秋の国会のうち、春は東京で秋は大阪で開くなど立法部の分都化などをイメージすることもできる。
大阪都構想の骨格
大阪都構想を少しかい摘んで解説しよう。 大阪都構想は大阪市を特別区に変え基礎行政を担わせるだけでなく、大阪府を大阪都に変え広域政策を強化するという2つの要素を持つ。これを「都区制度」と言う。大都市経営の司令塔を一本化し、広域政策と基礎政策の役割分担をしっかり分け、それを担う広域自治体(都)と基礎自治体(特別区)が都市経営の場面では都区一体で運営に当たるということである。これはニューヨーク、ロンドンなど世界の大都市にも多く見られる大都市運営の工夫された姿と言えよう。 具体的に大阪の場合、275万大阪市を1つの政令市ではなく、60万~75万人規模の中核市並みの4つの特別区に分けそれが基礎自治を担う。その運営を公選区長、公選議会を中心に政治主導によりマネージしていく、それが特別区制度だ。