糖質の摂りすぎで脂肪肝!? ちゃんと知っておきたい肝臓の働きと大問題
そもそも肝臓に起こる炎症・線維化って何?
脂肪肝になると、慢性的な脂肪炎症が進み、線維化を経て肝硬変や肝がんといった怖い病気へ進行していく。では、そもそも脂肪肝による炎症、線維化とは、一体どういう状態なのか。 「肝臓を作る肝細胞に中性脂肪が溜まると膨らみ、周囲の肝細胞に影響して炎症を起こします。続いて炎症で壊死した肝細胞を処理するために、白血球の一種である炎症細胞が集まります。肝臓を元に戻すための反応の一つが、炎症なのです」(竹原先生) 傷ついた肝臓を修復するため、炎症細胞はコラーゲンなどからなる線維状の組織を作るように促す。線維化の始まりだ。 多少の線維化なら大騒ぎしなくてもいい。だが、炎症が慢性化し、線維化された範囲が広がり固定化すると、肝機能はガタ落ち。皮膚の傷も軽いうちなら元通りになるが、深い傷だとケロイド状の傷痕が残りやすい。それと似た後戻りできない変化が、肝臓内で起こるのだ。その終着駅は肝硬変。 皮膚のケロイド状の傷痕が元のキレイな状態に戻りにくいように、一度生じた肝硬変を復活させるのは難しい。NAFLD、NASHのうちに対処しておこう。
肝臓が悪くなると悪影響は腎臓に及ぶ
肝臓の具合が悪くなると、飛び火のように被害が及ぶ臓器がある。それが、腎臓だ。肝硬変などがあり、それが腎機能に悪影響を与えるのが、「肝腎症候群(HRS)」。肝腎症候群の直接の引き金は、腎臓の血流が大幅に減ること。 腎臓は血液を濾して浄化し、尿を作る。このため、心臓が送り出す血液の約5分の1が腎臓へ流れ込む。臓器100g当たりの安静時血流量(mL/分/100g)は、肝臓や脳の7倍にも達する。 肝臓は、血管内の水分量を保つためにアルブミンというタンパク質を作る。重度の肝疾患があるとアルブミン合成が滞り、血管外へ水分が漏れ出し、むくみが生じる。その分だけ血管を流れる血流量は減少するため、腎臓に流れ込む血液も減る。 さらに肝硬変により門脈の血圧が上がる「門脈圧亢進症」が起こると、腎臓の血流量は相対的に制限されてしまう。 血流が減ると腎臓は血圧を上げるホルモンを分泌するなどし、必死に血流を増やそうとする。すると血管が収縮しやすくなり、濾過能力はダウン。腎機能が落ちる。肝臓&腎臓はセットで大切に。
チェックリスト
・食後に眠気を感じることが多い。 ・朝起きたときに疲れが残っている。 ・ご飯や麺類は大盛りで頼む。 ・健康診断で糖尿病や高血圧を指摘された。 ・甘いジュースをよく飲む。 ・20歳前後と比べて10kg以上太った。 ・肝炎ウイルスのチェックをしたことがない。 ・この1年間運動らしい運動をしていない。 ・お酒をよく飲む。 ・喫煙をしている。
取材・文/井上健二(初出『Tarzan』No.870・2023年12月14日発売)