なぜ井上尚弥は次なる狙いを「年内に日本でドネアとやりたい」と語ったのか?
そしてドネアのリベンジを返り討ちにする自信を口にした。 「(2年前の対戦での)自分の動きはすごく良かった。2ラウンド以降は片目で戦っていたことを踏まえると自信はあります。ドネアも怖いと思う。2回以降、片目であの戦い方、11回に(ダウンを)取られているわけですから。ドネアもリゴンドー戦の最終回で眼窩底骨折を経験している。どれだけ自分が(残り10ラウンドを)戦うのがきついか分かると思います」 そしてドネアの持つWBCのベルトを奪った後に狙うのが、4団体統一を達成することになる4本目のWBOのベルトだ。 「1本1本いきます。本当はドネアとカシメロが対戦するのが理想でしたし、1番良い流れだとは思ったのですけど」 現在のWBO王者はカシメロだが、対戦相手のリゴンドーは、シドニー、アテネ五輪で金メダルを2つ獲得した元アマエリートで、キューバから亡命後、プロに転向、2階級を制覇し、現在20勝(13KO)1敗1無効試合の戦績を誇る。サウスポースタイルで高いデイフェンス技術と強烈な左ストレートが武器。スーパーバンタム級時代にドネアに勝ち、唯一の黒星はスーパーフェザー級に階級を上げて元ライト級の3団体統一王者のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)に挑戦して途中棄権したもの。40歳にして「試合はつまらないが、それくらい負けないボクサー」との評価を受けている。2014年の大晦日には来日して天笠尚とも対戦した。ただ、この試合でも7回に2度ダウンを喫するなど打たれ弱さがある。 井上は、2人の試合をこう予想した。 「リゴンドーがしっかり戦ったら判定勝ち。ただカシメロも一発がある。リゴンドーが倒す可能性も十分にある。カウンターパンチがうまいし、逆にカシメロは荒い部分がある。むしろ判定勝ちよりも(リゴンドーのKO勝利の)可能性は高いかもしれない。(カシメロの)スピードのない大振りなパンチならリゴンドーの格好のえじきになりますね。結構、リゴンドーのKO勝ちがあると思う」 リゴンドーのカウンターテクニックを買った。 井上の予想通りにリゴンドーが勝てば、ドネアの次のバンタム級最後のターゲットは、キューバの怪人ということになる。 8月からスパーリングを再開する予定だが、「リゴンドーが勝ったらサウスポー対策です」という。 また4団体統一後の構想については、「スーパーバンタム級のことは、そこまで考えていない。まずはバンタム級4団体統一を集中して考えている」と答えた。 ちなみに今夏の楽しみは東京五輪のテレビ観戦。バスケットでは親交のある富樫勇樹が日本代表として出場するからだ。 「LINEで常に連絡を取り合っているので、今回は友人が出る試合は見ます。ボクシング競技は自分がいけなかった舞台ですし見ます」 “モンスター”は今夏、そこから新たな刺激を受けてドネア戦に向けての進化の糧のひとつにするのかもしれない。