今、「森の香り」が注目される理由
サンダルウッドやセダーウッドの精油には、不安を和らげ、リラックス効果をもたらす作用があるといわれている。経験的に知られてきたこのような香りの効果を、現在では香気成分を科学的に分析することで、解き明かす試みも進んでいる。セダーウッドに含まれる香気成分「セドロール」には、副交感神経を有意に導き、睡眠の質を向上させる働きがあるという。
「『アスレティア』というブランドに対して、 “森の香り”のイメージを持つ人も多いのですが、その理由として、キーアロマのセダーウッドを全商品に賦香していることがあげられます。その他、アーシーなパチョリや苔をイメージしたモスの香りを組み合わせて、樹木だけでなく、土や苔まで含んだ“空間全体としての森”を表現しています」。
土や苔など大地を想起させる香りは、“グランディング=地に足をつける感覚”をもたらす意味で「今の時代に合っているのではないか」(衣川コミュニケーションマネージャー)と分析する。数多の情報に囲まれた現代社会で暮らしていると、気分が散り散りになるような感覚を抱くことはないだろうか。そんな時、大地とそこに根を張る樹木の香りは「ぶれない感覚」を取り戻す手助けとなるのかもしれない。
世界中で注目される「森林浴」
部屋にいながらにして深い森の中へ
大地や苔まで含む森の香りは、部屋にいながらにして「森林浴」の気分を味わえるのが特長だ。実際に「森林浴」をテーマにした新商品も多い。例えば「ジョー マローン ロンドン」の“ヒノキ & シダーウッド コロン インテンス”は、開発者のセリーヌ・ルー(Celine Roux)が「森林浴を通して心の静寂を得る」という日本の文化に感銘を受けて生まれた香りだ。「自然に落ちたヒノキの枝を拾い集めて香料を抽出するなど、持続可能な森林管理のもとで調達された、100%天然の日本のヒノキ香料が用いられています」(田中PR担当)。
通常のヒノキに比べ、日本のヒノキは芳香が強く、フレッシュで生き生きとした香りを放つという。「バウム(BAUM)」から11月に登場するホリデー限定品“アロマティック ハンドクリーム”も、日本のヒノキにインスパイアされた香りを採用。研究員が四国の森林で採取した香気成分を分析して、ヒノキの森を再現している。