まさかの“阪神残留”発表で大山悠輔は「三浦大輔2世」になるか 巨人と阪神で4番を務めたレジェンドが「それでも“球団一筋”の選手は減る」と断言する理由
阪神から国内FA権を行使していた大山悠輔が11月29日、残留を発表した。プロ野球のファンなら「巨人の4番は特別」、「阪神の4番は特別」と耳にされたことがあるだろう。新聞のデータベースで両チームの「4番は特別だ」と言及した記事を調べてみると、興味深いものが見つかった。 【写真】大山悠輔の打撃を覚醒へと導いた“師匠”は、現在、別チームで2軍打撃コーチを務める ***
最初に巨人からご紹介しよう。サンケイスポーツが2014年2月7日に掲載した「【松井氏宮崎キャンプ一問一答】巨人の4番『それは最高のポジション』」だ。 松井氏は2012年、MLBのレイズを自由契約となって現役を引退。14年の巨人は原辰徳氏が監督を務め、宮崎でキャンプを行っていた。古巣を訪れた松井氏はサンスポの取材に応じ、「巨人の4番は特別」なのかという質問に対し、以下のように答えた。 「それは最高のポジションだと思いますよ。少なくとも、野手ではね」 松井氏は「常に巨人の4番を打っていると意識していた」と打ち明け、「そのために自分は何をしなくちゃいけないというのを意識していた。それはやっぱり、4番を務める人の宿命だと思います」と語った。 一方の阪神は日刊スポーツが2010年5月12日に掲載した「阪神 新井がセ・パ交流戦に向けて異例の居残り特打」を取り上げたい。 2010年のシーズン、阪神は開幕戦で金本知憲氏を4番に起用した。4番は普通なら金本氏の“定位置”なのだが、この年は特別な事情があった。オープン戦の試合前、守備練習で右肩に重傷を負ったのだ。 金本氏は「連続試合フルイニング出場」の世界記録を更新していた。シーズン出場を強行したが、犠牲フライを捕球しても本塁に送球できず、打率1割6分7厘と極度の不振に陥った。このため4月18日に自ら申し出てスタメンから外れた。
大山に巨人がラブコール
金本氏の代わりに4番を務めたのが新井貴浩氏。だが新井氏も5月に入ると打撃が振るわず、打率は1割2分5厘と低迷した。日刊スポーツの記事はセ・パ交流戦の前日に新井氏が異例の居残り特打に汗を流す様子を伝えたものだが、そこに「阪神の4番」が持つ重みに言及した部分がある。 《金本の代役として4番に座り、ここまで17試合を戦った。「阪神の4番は特別」と独特のプレッシャーを感じながらも、前半9試合は打率3割6分1厘(36打数13安打)、1本塁打、7打点と打線をけん引した。ただ、5月に入ってその勢いは“小休止”。8試合中5試合で無安打を記録するなど、精彩を欠いた。「今の打撃が続くようじゃダメ。何とかしないと」。2試合連続無安打に終わった9日の広島戦後には、悲壮感さえ漂わせていた》 巨人と阪神と言えばセ・パの枠を超え、NPB12球団で最も人気のあるチームだと言っていいだろう。巨人と阪神の4番は球界を代表するスター。だからこそ阪神の4番である大山悠輔が11月13日にFA権を行使し、巨人が熱烈なラブコールを送ったことに、隔世の感を覚えた野球ファンは多かったに違いない。担当記者が言う。