楽天の三木谷CEOが「東京五輪開催は自殺行為」と米CNNで反対表明…政府に”中止要請”をしている衝撃事実も
楽天の三木谷浩史CEOが14日、米CNNビジネスの単独インタビューに答え、悲観論が強くなっている東京五輪の開催について「正直言って自殺行為のようだ」と衝撃的な表現を使って発言。ハッキリと反対の意思を表明した。 三木谷氏は、ここまでの日本政府の対応を「10点中、2点だ」と批判。 「日本でワクチン接種が十分になされていない現状で、国際的な巨大イベントを主催することは危険だ。リスクが大きすぎる。ブラジルやインドや多くの国が(感染拡大に)苦しんでいる。まだ(大丈夫だと)喜ぶ時期ではない」と指摘した。 インタビュアーのセリーナ・ワン記者が、「日本政府は開催を中止できるのでしょうか」と質問すると「現時点ではすべてが可能だ」と中止の可能性があることを示唆。 「大会を安全に開催するのは難しいので、政府に中止を求めているが、これまでのところうまくいっていない」と、水面下で経済界のトップの一人として政府に中止要請を行っているという衝撃事実まで明かした。 CNNビジネスは、記事の中で「日本では何十万人もの人々がオリンピックの中止を求めるオンライン請願書に署名している」と紹介。 その上で、三木谷CEOだけでなく、日本の経済界のトップが、次々と東京五輪開催にネガティブな発言を行っていることを報じた。 ソフトバンクの孫正義CEOは13日にCNBCの取材に対して、「日本だけではなく多くの国の人々が東京五輪が開催されることを恐れている。大変、厳しい状況にある。私は、各国が選手を(東京五輪へ)送ることをサポートする方法を知らない」と発言。東京五輪開催に懸念を示した。 また同メディアは、大会の主要スポンサーであるトヨタ自動車の長田准・執行役員が12日に行われた同社の決算説明会で「参加をいただく全てのアスリートの方、応援される国民のみなさまが、安全で安心した環境でいることが、私どもとしてはオリンピックの精神の大前提。現在、医療の不安から国民の一部の方の不満がアスリートのみなさんに向けられている状況についてスポンサーとして本当に心を痛めており、どうすればいいのか日々思い悩んでいる」とコメントしたことも伝えた。 トヨタ自動車が、オリンピック・パートナーズ・プログラムを構成する15のグローバル企業のひとつで、最高レベルのオリンピック・スポンサーであり、夏季、冬季、ユースオリンピックのカテゴリー独占マーケティング権」を保有していることもあわせて紹介。トヨタ自動車の役員の発言が影響力を持つことを暗に示唆した。 さらに同メディアは、日本で、3度目の緊急事態宣言が延長されている現状とともに、米国の陸上競技チームが、大会に関する不確実性を理由に、日本での五輪前のトレーニングキャンプの中止を発表したことを付け加えた。また「IOCのスポークスマンのマーク・アダムズ氏が日本国民の懸念が高まっているにもかかわらず、完全な大会を開催する計画が進んでいると記者団に保証した」と皮肉を交えて報じた。 日本の経済界のオピニオンリーダーともいえる経営者が海外メディアから反対意見を発信したことの意味は小さくない。昨年、東京五輪の1年延期が決定した背景にも、海外メディアからの”外圧”があった。三木谷氏、孫氏らは、日本の政治が、こういった”外圧”に弱いという背景を熟知した上で、あえて、海外メディアを通じて反対意見を発信したとも考えられる。 一方で、三木谷氏がオーナーを務める楽天、ヴィッセル神戸が所属するプロ野球とJリーグは国際イベントではなく人数制限をしているとはいえ興行を続けてることに対し、その矛盾を指摘する意見もある。 だが、日本政府、組織委員会、開催可否の最終決定権を持つIOCが開催への強気の姿勢を崩していない中、日本の経済界のトップから出てきた反対意見は、今後の動向へなんらかの影響力を与えるのかもしれない。