東京都の「感染状況」警戒レベルが最高に 専門家はどう分析したか
東京都は15日、新型コロナウイルス感染者の急増を受け、「感染状況」について4段階で最も警戒度の高い「感染が拡大していると思われる」に引き上げた。都では7月から新しいモニタリング指標での分析を始めている。レベルの引き上げは、専門家らによる2回目のモニタリング会議で提言され、その後の都の対策本部会議で決定された。専門家は現在の東京の感染状況をどのように分析したのか。都が設定した主なモニタリング項目ごとに見る。 【図】小池知事「『感染拡大警報』発すべき状況」 都がコロナ警戒レベル引き上げ
「感染状況」と「医療提供体制」を4段階で評価
都は先月末に感染状況を把握するための新しいモニタリング指標を設定。「感染状況」と「医療提供体制」という2つの観点を軸に分析を進めることとした。具体的な項目としては、「感染状況」が(1)新規陽性者数(2)発熱等相談件数(3)新規陽性者における接触歴などの不明者(数・増加比)、「医療提供体制」が(4)検査の陽性率(検査人数)(5)救急医療の東京ルールの適用件数(※搬送先の選定に20分以上かかったケース)(6)入院患者数(7)重症患者数――の計7項目。これらの数値を中心に、専門家らによるモニタリング会議を7月から週1回ペースで開いて分析している。 レベル引き上げを決定した後の小池百合子知事による15日の臨時会見では、国立国際医療研究センターの大曲貴夫(のりお)国際感染症センター長が「感染状況」について、東京都医師会の猪口正孝副会長が「医療提供体制」についてそれぞれ説明した。
●新規陽性者数
モニタリング会議は今回で2回目で、各モニタリング項目は7月13日時点の数値で評価した。 まず「感染状況」における新規陽性者数は、1週間平均で168.4人に増加。前回9日の第1回会議での数値は108.0人で、政府の「緊急事態宣言」下での最大値である167.0人(4月14日)をも上回っている。 大曲氏は、3月から宣言解除までを「第1波」と定義するとして、その頃の流行状況と現在では違いがあると指摘した。 まず年齢構成比は、前回の流行では50代が15.5%、60代が10.4%、70代でも9.6%が感染するなど「どちらかというと50代以上の発生の比率が高かった」。しかし今回は20代が42.2%を占めるなど「全体のボリュームゾーンは20代と30代」が中心だという。 ただここへ来て変化が見られるという。「60代以上が全体の1割を占めてきた。これは重症化リスクが高い世代。また10歳未満の比率が上がってきた。年齢の幅が広がってきている」と懸念する。 感染経路についても、これまでは接待を伴う飲食店関連が中心だったが、最近の事例では、施設内での感染のほか、同居家族から、あるいは職場の同僚から、また友人や仕事仲間らとの会食での感染が見られるという。「接待を伴う飲食店だけではなく、普通の社会生活の場でも感染が見られ始めている。高齢者への家族内感染もある。リスクが高い方への感染を危惧している」と述べた。