東京都が“数値なき”コロナ新指標 小池知事「経済活動との両立目指す」
東京都は30日、新型コロナウイルス感染状況を把握するための新たなモニタリング指標をまとめ、公表した。会見した小池百合子知事は「感染状況」を示す新規陽性者数に加え、「医療提供体制」の状況を示す検査の陽性率・検査人数や入院患者数など7つの項目をモニタリングの対象とすると説明。これまで指標に設定されていた数値基準については、設けないとした。 【動画】東京都が新型コロナで新指標 小池都知事が会見
「感染状況」と「医療体制」中心に分析
小池知事は、これまでの項目について「自粛の段階的な緩和や再(休業)要請の目安として新規陽性者数など感染者数に着目した指標を設定してきたが、第2波に備え、次の2つの区分にしたい」と述べ、「感染状況」と「医療提供体制」の2つを中心にモニタリングしていくとした。 具体的には、「感染状況」が (1)新規陽性者数 (2)発熱等相談件数 (3)新規陽性者における接触歴などの不明者(数・増加比) 「医療提供体制」が (4)検査の陽性率(検査人数) (5)救急医療の東京ルールの適用件数(※) (6)入院患者数 (7)重症患者数 という7項目。
都では今後、専門家らが上記の指標を中心に日々の都内の感染状況を分析。週1回をベースに開く都のモニタリング会議で、専門家の分析をもとに評価し、都としての対応を決めていくという。専門家の分析は、上記7項目のほか、新規陽性者の年代別の発生状況、疑い患者の外来患者数などの指標も参考にする。7月1日から試行を始め、その後に本格実施する。 (※)搬送先の選定に20分以上かかったケース
3月下旬の医療体制とは「違ってきている」
これまでのモニタリング項目は、▽新規陽性者数が50人以上▽新規陽性者数における接触歴などの不明率が50%以上▽週単位の陽性者増加比が2倍以上、といった数値基準がついた3項目のほか、▽重症患者数▽入院患者数▽PCR検査の陽性率▽受診相談窓口における相談件数といった7つだった。一部重なる指標もあるが、新しい7項目では数値基準は設けない。 東京都では30日まで5日連続で感染者が50人を超えている。小池知事は都のPCR検査体制について、3月下旬頃は1日220件程度だったが現在は1日3100件程度まで整えているとし、検査数が増えれば陽性者も増えると説明。「3月下旬の医療体制と現在では環境が違ってきている。(新規陽性者数)50の数字は、検査の状況、医療体制の両方から見直しの必要があった」と理解を求めた。 さらに「『夜の街』関連や20代、30代の若い世代の感染が多く確認されている状況。現時点では、医療提供体制は十分確保されている。患者が急激に増加したのが3月下旬で、その頃に比べると状況は異なっている」との見方を示した上で、「今後の感染者数の動向については警戒が必要」と注意を促した。 今後、再び休業要請をすることはあり得るかとの質問には、まずは都民に手洗いやマスクの着用、ソ-シャルディスタンス、「3密」回避などの基本的な感染防止対策や事業者による対策の徹底を呼びかけ、「それを超えて感染が広がっていくという時は1つの考えとしてあるかと思う」とも述べたが、「経済社会活動の両立を目指していくのがスタンス」だと強調した。