2期目の小池都政「脱パフォーマンス」都民の信頼保てるか
東京都知事選は小池百合子氏が歴代2位の得票数となる366万票を得て圧勝で再選を決めました。しかし先の見通せないコロナ禍、東京五輪・パラリンピックなど都政の課題は山積しています。1期目を振り返りながら、小池知事の2期目を展望します。政治学者で東京大学大学院教授の内山融氏に寄稿してもらいました。 【写真】“無観客の都知事選” 17日間を振り返る
コロナ対応でのリーダーシップに支持
今回の都知事選挙は、新型コロナウィルスの感染拡大を受け、異例の選挙戦となった。現職の小池百合子知事はもっぱらオンラインで選挙運動を展開し、その他の候補も「3密」を避けるなどの工夫を強いられた。 選挙結果は、大方の予想どおり小池氏の圧勝であった。次点となったのは立憲民主党、日本共産党、社民党の野党3党が支援した宇都宮健児氏であり、以下、れいわ新選組代表の山本太郎氏、日本維新の会推薦の小野泰輔氏の順であった。野党陣営が宇都宮氏で一本化することができなかったため、小池批判票が分散したと考えられる。もっとも、他の候補の得票を集計しても小池氏の得票にははるかに及んでいない。一般に知事選挙では現職が有利となるが、後述するように新型コロナ対策で小池氏が見せたリーダーシップが高く評価されたものとみられる。 今回の選挙戦で主な争点となったのは、新型コロナ対策と、来年への延期が決まった東京五輪・パラリンピックであった。 新型コロナ対策について、小池氏は東京版CDC(疾病対策予防センター)の創設を掲げるとともに、検査体制の拡充や中小企業者への支援など、これまでの都の政策の継続・拡充を訴えた。 東京五輪・パラリンピックについては、当然ながら小池氏は実施すべきとの立場である。安全・安心な環境を提供しつつ、費用を最小化しながら、都民・国民から理解が得られる形での開催を主張した。 このような争点について、おおむね現職の小池知事の政策が信任されたといえる。ただし、オリンピック・パラリンピック開催に批判的であり、コロナ対策の財政給付に積極的な宇都宮氏と山本氏が一定票を獲得したことは、今後のコロナ対策や来年の五輪開催に向けた小池知事の姿勢に影響するかもしれない。