疲労過多の上原浩治を心配する地元メディアが「今季登板回避キャンペーン」
突然のスランプに陥ったレッドソックスの守護神・上原浩治投手(39)に対して、地元メディアが「残り試合の登板回避キャンペーン」を行っている。ボストン・グローブ紙は「彼は熟練したクローザーだが、シャットダウンすべき時かもしれない。家伝の宝刀、スプリットのコントロールを失っているのだから。ボストンのブルペンを2年間支えてきた疲れが溜まっているのかもしれない」。一般ファンを対象にした世論調査を行い、米国東時間26日23時時点では、「残り試合を回避すべき」が約70%で、「怪我でない限り投げるべき」を上回っている。リパブリカン紙は「トレード期限に彼を放出せず、来季の戦力としてキープしたのであれば、健康体で効果的な状態で温存すべきだ」と力説。複数のメディアが、「残り試合で上原を温存すべき」と報じた。来季の抑えとしてトレード放出せず、残留させたのなら、こんな消化試合でこれ以上消耗させるな、ということだ。 確かに、絶対的守護神には異変が起きている。19日のエンゼル戦で今季初の2試合連続失点で3敗目を喫したのが、前兆だった。続く22日のマリナーズ戦では3点リードのセーブ機会で、1イニング5失点という救援投手転向後メジャーワースト記録で4敗目。25日のブルージェイズ戦では3点リードの9回一死満塁からの登板で、内野ゴロで1点を失った後、エンカーナシオンに2点適時打を浴びて同点にされた。延長10回に味方打線が1点を奪って、6勝目がついたが、もちろん喜べるものではない。 今季アリーグ東地区最下位に低迷するレ軍が唯一誇れたデータは、リードして9回を迎えた試合は、22日まで44勝0敗。上原が最後の砦として控えているからこそ、メジャー30球団で唯一の無敗記録を保持していたが、雪だるま式の神話崩壊に地元メディアは騒然となった。なにしろ、神懸かり的な活躍を続けていた過去2年のボストンで、こんな上原は誰も見た事がないからだ。 実は、ファレル監督は8月に入って「上原と田沢は、休養と健康を第一に考えるべき選手」と語った。だが、19日の試合後の監督会見で早速、地元記者から「上原をシャットダウンするか?」という質問に「そうは思わない。本人は大丈夫と言っている」と否定。25日の試合後も同じ質問に「今はそう思わない」と繰り返した。しかしながら、右肘の炎症で故障者リスト入りしているレンジャースのダルビッシュ投手について、ダニエルズGMが今季の残り登板を回避する考えを示唆するなど、首位争いから脱落したチームは来季に備えるのが常識。故障があれば言うまでもないが、若干の違和感や疲労の蓄積があれば、来季の主力は休ませてもいいという考え方になるのが一般的。ファンやメディアもそこを突いたりしない。