疲労過多の上原浩治を心配する地元メディアが「今季登板回避キャンペーン」
だが、プロ意識も闘争本能も備わっている選手というのは、よっぽどの故障がない限り、「行けるか?」っていわれたら、「ハイ、行けます」というもの。生存競争の激しいメジャーの世界では、根底に「使って貰えることが有り難い」という意識もあるだろう。上原自身もメディアには「疲れじゃない」とコメントした。だからこそ、地元メディアからの「上原温存」の提案が出てきた訳だ。 上原は言う。「実際、チームは優勝争いしている訳でもないし、その辺のモチベーションは難しい所もあるけれど、結局は全部自分に帰ってくるので。損するのは、自分だけですから。10月は多分ないだろうから、9月いっぱいまで自分の体がきちんとした状態で持っていけるか、そこは準備とケアを欠かさずやっていくしかないと思う」。チェリントンGMがトレード放出より残留を強く希望した上原は、今オフ、FA選手が既存チームから受けるクオリファイングオファー(今オフは約1500万ドル)を提示される方向で、しっかり自分の仕事を全うすれば、バラ色のオフが待っているはず。そこに、モチベーションを据えて消化試合をこなしてきたと考えられるが、ここに来て、バックホルツ以外の4人をトレード放出して若手に切り替えたレ軍先発陣は5回を持たずに降板するケースが多く、ブルペンの負担が大きくなっている。加えて、守備面でも経験不足の若手が失策や記録に残らないミスを連発し、投手陣の防御率は軒並みアップしているのが現状だ。 目の間にチームの優勝という大きな目標があれば、少々の登板過多もなんの、アドレナリン全開でアクセルを踏みっぱなしに出来るかもしれない。だが、今のレ軍の現状で、田沢と上原の中継ぎの屋台骨を酷使するのは、いかがなものか、というのが、この日の地元メディアの論調だった。 ファレル監督が明確な意思表示することなく迎えた26日のブルージェイズ戦で、興味深い現象が起きた。4-4で迎えた延長10回を田沢が1回無失点で抑えた後、延長11回に打線が一挙7点を奪って勝ち越し。その裏をヘブリーが3失点もなんとか逃げ切り、結果的に上原を温存して連勝したのだ。鬼門ブルージェイズ打線に仁王立ちした田沢の気迫溢れる投球や、延長11回の猛攻で、上原の登板機会はなかった。ファレル監督にすれば、地元メディアから突き上げられている難題を、とりあえず回避して勝利をおさめた格好となった。