なぜ西武ニールの”不敗神話”が守られたのか?
接戦をものにできる原動力になっているリリーフ陣のなかでも絶対的な存在、守護神・増田達至をベンチ入りさせながら、辻監督は延長戦のマウンドにも送らなかった。 理由を問われると「今日は使わんでおこう、ということ」とあえて休養させたと明かした指揮官は、10回表を託したドラフト1位右腕・宮川哲へ期待を込めた上で、苦言を呈することも忘れなかった。 「ランナーを出して代わったんだから、まだまだ。ちゃんと(アウトを)2つ取って、吉田のところで小川というところまでやってくれればいいんだけど」 1番の宗佑磨を打ち取りながら続く安達了一に一、二塁間を破られ、スラッガーの吉田正尚を左打席に迎えたところで左腕・小川龍也にスイッチ。二死無走者で代えるシナリオこそ狂ったものの、吉田をピッチャーゴロ併殺に仕留めた瞬間に西武の負けがなくなり、ニールの不敗伝説も継続された。 「勝てたと言えば勝てた、と言えるかもしれない。でも、ピンチも多かったからね。よく(後続の)ピッチャーがしのいでくれたと思っています」 9回裏に迎えた一死満塁のサヨナラのチャンスを逃したこともあり、辻監督の試合総括もどことなく微妙なものになった。それでも増田の右腕に蓄積されている疲労を軽減させ、この先を見越して宮川にも奮起を促した。第5打席でも内野安打を放ち、猛打賞で打率を2割台に上げた源田が言う。 「まだ苦しいですけど、周りの人にいっぱい助けてもらって、チームも貯金を作っているので。これからどんどん(打率を)上げていって、チームの力になれるようにやっていきたい」 そして、ニールの不敗伝説も続く。開幕戦の勝利で昨年から12連勝とした右腕は、1987年から翌年にかけて郭泰源がマークした外国人投手の球団記録となる13連勝に王手をかけていた。新型コロナウイルスの関係で同一チームとの6連戦が続く今シーズン。雨天順延がなければ敵地で臨む10日のロッテ戦が、オリエンタル・エクスプレスに並ぶ仕切り直しのマウンドになる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)