苦節6年で初勝利…なぜドラフト9位“都立の星“鈴木優がオリックス連敗ストップのヒーローになれたのか
オリックスの鈴木優(23)が1日、メットライフドームで行われた西武戦で5回無安打無得点7奪三振の快投を見せプロ6年目にして初勝利、チームの連敗を「7」でストップさせた。窮地を救った鈴木は、都立雪谷高から2014年のドラフト9位で入団した”都立の星“。大学、社会人を経た都立高出身の勝利投手は日ハムの秋吉亮(31)、ソフトバンクの石川柊太(28)、ロッテの佐々木千隼(26)らがいるがダイレクトにプロへ進んだ都立出身投手としては史上初の勝利となった。開幕投手の山岡泰輔(24)が脇腹を痛め戦線を離脱、K-鈴木(26)、村西良太(23)が2軍落ちするなど、ローテーションの再編成を余儀なくされているオリックス投手陣に頼れる新戦力が加わった。
5回を”ノーヒットノーラン”
ベンチの奥にいた鈴木優が笑顔で飛び出し勝利の儀式に加わった。 プロ入り6年目。過去5年は泣かず飛ばずで、1軍登板はわずかに5試合(先発は1試合)と、結果を出せなかった”都立の星”が7連敗中のチームを救う救世主となった。 「6年かかってしまったんですけど、やっと1勝できて本当にうれしいです」 プロ初勝利の記念のウイニングボールを持って西村監督とツーショット撮影。1点差ゲームが6試合ありながら、負の連鎖を断ち切れなかった指揮官もヒーローと握手し、「素晴らしいピッチングでした。ノーヒットですからね」と絶賛した。 西武が誇る山賊打線を相手に5回を”ノーヒットノーラン”。ピンチは一度だけ。3回に栗山巧、川越誠司に連続四球を与え、無死一、二塁と得点圏に走者を背負ったが、金子侑司にツーシームを小さく沈めて三振、復帰してきたスパンジェンバーグ、源田壮亮も低めのツーシームで誘い、引っかけてさせて内野ゴロに打ち取った。 4回にはアクシンデントに襲われた。先頭の森友哉にカウント1-1からファウルを打たせた直後、マウンド上で鈴木が右手をぶるぶると振って異常を訴えた。人差し指が攣って曲がったまま動かなくなったのだ。ベンチに一度下がっての応急処置。すぐに戻ってきた鈴木は、森を高めのツーシームでスイングアウトに打ち取り、このピンチも切り抜けた。 5回も3人で終わらせノーヒットノーランという大記録への期待が膨らんだ。西武の今井達也もノーヒットピッチングを続けていたが、6回に安達了一が、値千金の四球を選んで出塁すると吉田正尚が初ヒットを均衡を破る右中間芝生席への先制2ランに変えた。この回一気に6点を奪うビッグイニングを作り鈴木の初勝利を後押しした。 だが、西村監督は「(指が攣ったことは)その後も投げて問題はなかったが…6回を投げてくればいいと思っていた」と、勝利権利を手にしたところで山田修義にバトンタッチさせた。鈴木自身も「それはお任せしているところなんで。僕が考えることじゃない」という。 山田、増井浩俊、ヒギンス、沢田圭佑が2安打完封リレー。連敗脱出と、鈴木のプロ初勝利という2つの願いをチームが一丸となってつないだ。