なぜ西武の辻監督は松坂大輔の開幕2軍を決めたのか?「いい時の松坂ではない」
西武の松坂大輔(39)が7日、メットライフドームで行われた中日との練習試合に6回から登板、1イニング、15球を投げて打者4人に対して無安打無失点に抑えたが、まだ試運転の状況で首脳陣は開幕2軍を決定した。ボールを低めに集めて動かし古巣の中日打線にヒットは許さなかったが、最速は136キロで調整不足。辻発彦監督(61)は「いい時の松坂ではない」と判断した。2軍でローテーションを守り、球数100球が可能になったタイミングをメドに1軍昇格のチャンスが与えられる方向だ。
ボール動くも最速は136キロ
高橋周平にはボール球を4つ続けた。 「今日は打者に投げること自体、3月のオープン戦以来でしたけど、先頭にフォアボールを出してしまったことが反省点ですね」 いきなり走者を背負い、セットからのクイックを交えたピッチングに変わったが、2人目のアルモンテに対して2球目に投じた“挟み球“はスッポ抜けた。オープン戦途中に自ら「スプリットチェンジ」と説明したスプリットの握りで投げるチェンジアップだ。 ホームラン球だったが、アルモンテの打球は、ライトフェンス手前。芯を外したというより打ち損じである。だが、続く井領雅貴には、徹底して、39歳の松坂が「勝負球」と定義しているカットボールを低めに集めてライトフライに打ち取った。これは松坂が支配した。 「ボールを動かして、うまく芯をはずされました」とは井領の松坂評。 二死を取ると堂上直倫には、大きなカーブを使って目線を動かしてカウントを整え、外角のストレートで勝負した。結果、ファウルとなったが、これが、この日、最速の136キロ。続けて投じたカットボールは甘かった。堂上は、動くボールを想定し体を開きながら、あえて右を狙ったが、微修正がおぼつかない。いい打球だったが、セカンドの外崎修汰が横っ飛びして好捕。 「球が少し動いている感じでした。甘い球が少なくなかなかスイングできなかったです」 堂上は2年間、同じユニホームを着たレジェンドを称えた。 1イニングをノーヒットで終えると、松坂は、少しだけ表情を緩め、中日の三塁コーチ、荒木雅博とすれ違いざまに笑顔で挨拶を交わしてマウンドを降りた。 「やりたいことが全部できたわけではないですが、これから投球回を増やしていく中で色々な感覚を取り戻していきたいです。その後(四球後)のバッターに投げたように少しずつ打者のタイミングや芯を外すようなピッチングをしていきたいと思います」 松坂は、そのままブルペンに直行してピッチングを続けた。 「降板後にブルペンに行ったのは、ゲームの中ではフォーシームを投げていなかったので、フォーシーム中心に投げたいと思ったからです」 マウンドに上がる前もブルペンの後方から“プチ遠投“を繰り返していた。 3月22日の日ハム戦の練習試合に登板して以来、77日ぶりの実戦マウンドだった。先が見えなかったため、3月28日に右膝にコンディショニング目的の注射を打ち練習のペースを落とした。当初、練習試合の登板予定はなかったが、西口文也投手コーチと話し合いをする中で、登板を直訴、急きょ、1イニング登板が実現した。 目的は、「試合勘を取り戻す、バッターと対戦することで感覚を思い出す作業がメイン」だった。新型コロナの影響で活動停止を余儀なくされた自主トレ期間中も、「キャッチボールは続けていた」というが、実戦から離れた遅れを取り戻そうと、急ピッチで仕上げているのが実情。 当然、辻監督の評価は厳しいものだった。