なぜ西武ニールの”不敗神話”が守られたのか?
つぎ込まれたピッチャーの数は、オリックス・バファローズの7人に対して埼玉西武ライオンズは6人。総力戦の末に西武にとって今シーズン初の延長戦を、同じく最長の3時間50分をかけて4-4で引き分けたメットライフドームに残ったのは、昨年から紡がれてきた「不敗伝説」だった。 西武の2勝1敗で迎えた3日の4回戦は、一時はオリックスに軍配が上がったかに映った。1点を先制された直後の6回表。四死球からピンチを広げた先発のザック・ニールが、MLB通算282本塁打の実績を誇るオリックスの4番、アダム・ジョーンズに痛打され同点とされた直後だった。 続く5番のT-岡田へ投じた初球、142kmのツーシームはキャッチャー森友哉が構えたところとは真逆のインコースへ、それもベルト付近へ甘く入ってきてしまう。打った瞬間にそれとわかる、無人の右中間スタンドに着弾した勝ち越しの第3号3ランを、ニールは失投だと悔しがった。 「ピッチングのリズム自体がよくないなかで、何とか試合を作ろうと努力した。その意味では全体的には悪くなかったと思う。ただし、今日はたった1球の失投がすべてだった」 6番のアデルリン・ロドリゲスを、ちょうど100球目で三塁ゴロに打ち取ったニールは、この回限りで先発のマウンドから降りることになる。このまま試合が終われば、昨年4月9日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦以来となる、来日後における2つ目の黒星が刻まれてしまう。 もっとも、西武に与える衝撃はそれだけではなかった。来日4度目の先発で3回3分の2を5失点と打ち込まれて降板しながら、最終的に千葉ロッテマリーンズと9-9で引き分けた昨年4月23日の一戦を皮切りに、ニールが先発すれば負けない試合が実に「16」も続いていたからだ。 不敗伝説が紡がれた試合には2年連続23度目のパ・リーグ制覇を決めた、昨年9月24日のロッテ戦であげた白星も含まれる。記憶に新しいところでは1週間前の福岡ソフトバンクホークス戦。味方のエラーなどで満塁のピンチを迎え、後続を託した救援陣が痛打されて逆転される絶体絶命の状況で、8番・木村文紀の今シーズンの第1号となる起死回生の逆転満塁アーチが8回裏に飛び出した。