親から相続した空き家、敷地の境界線がわからずトラブルに…円満な売却方法はあるの?【相続専門税理士が解説】
先祖伝来の古い実家を相続したのですが、すでに実家にはだれも住んでおらず空き家状態になっているケースはよく見かけます。そのような空き家を売却する場合、敷地の境界確定と測量が必要になるケースがあります。どのような状況で必要となるのでしょうか。また、実際の境界確定や測量の進め方についてもみていきましょう。相続専門税理士の岸田康雄氏がやさしく解説していきます。 【第6回】 【早見表】3,000万円30年返済の住宅ローン…金利差による利息分 2023.01.06
先祖伝来の土地の境界が確定せず…
横浜市内に住むAさんは、先祖伝来の古い実家を相続しました。不要なのでさっさと売却したいのですが、大変困ったことにお隣との境界があいまいで、「ここからここまでがうちの土地」「いいや、ここからここまでが…」と、祖父母の代からずっとやり合っており、関係が最悪になってしまったそうです。土地をスッキリ売却できるかどうかについて相談に来られました。 築年数が古い建物の敷地や、先祖代々相続されてきた土地の場合、最近購入した土地とは異なり、境界が確定されておらず、土地の面積が不正確な場合があります。 当然ですが、境界が不明確だと売買の際に問題となりますし、なにより、都市部での固定資産税や都市計画税は土地の面積によって決まるので、面積が間違っていれば税額にも影響します。そのため、正確な面積を知ることが大切です。 まずは土地の登記簿を確認したうえで「境界」をはっきりさせ、正しい面積を測るために「測量」をする必要があります。これらが完了すれば、安心して土地を売却することができます。
境界確定測量の「依頼先」と「費用の目安」は?
まずやるべきことは、現地に出向いて「境界標」の有無を確認することです。境界標がなければ、土地の境界確定の測量が必要です。 測量は、測量士や土地家屋調査士に依頼することになりますが、相続の場合、相続税申告や譲渡所得税申告に影響があるため、税理士とも連携することが必要です。 まずは仮測量を行い、測量者と土地所有者とで境界確定の話し合いをします。境界が確定すれば、確定測量が行われ、正確な面積が分かるので、境界標を設置できます。 測量する際には、隣接所有者との土地境界の話し合いに立ち会うことが必要です。また、土地家屋調査士が境界確定の測量後に作成した境界確定書には、依頼者が押印しなければいけません。 測量にかかる費用の例ですが、100m2程度の場合、土地の現況測量は10万~20万円、確定測量は40万~60万円程度が一般的です。ただし、役所との話し合いの立会いが必要な場合や、近隣トラブルで交渉が必要となる場合には費用が増えることもあるので、事前に見積もりを取っておきましょう。 境界確定後、測量図面や境界確定書面が作成され、それらをもとに、土地登記が行われます。 境界確定の測量や登記にかかる期間は、測量から登記完了までの期間は事案によって異なりますが、おおよそ3ヵ月程度が目安です。