「NEGORO 根来 - 赤と黒のうるし」が大阪市立美術館で開催。朱漆と黒漆の織りなす魅力に迫る
大阪・天王寺の大阪市立美術館で、黒漆に朱漆を重ねた漆器 「根来(ねごろ)」の魅力に迫る展覧会「NEGORO 根来 - 赤と黒のうるし」が開催される。会期は9月20日~11月9日。 「根来」は使い込むと朱漆の下から黒漆が現れる。本展では、その根来の魅力と背景を中世の根来寺(和歌山県岩出市)で盛んにつくられたという漆工品を中心に展示。その先駆となった朱漆器の歴史をたどることで、現代の朱漆器「根来塗」までの系譜を浮かび上がらせる。 例えば「根来」のなかでも、古くから愛されてきた形状のひとつ「輪花盆」は、その美しさを端的に表している。輪花盆は縁を花びらのすがたに象った盆で、中国伝来の器物のかたちを写しとったもので、とくに大型の輪花盆は中世の絵画資料にみる喫茶や宴席の場面などに描かれ、日常的に使用された。 根来の輪花盆は、長年の使用や手擦れにより、朱漆がところどころ摩耗していき、下に塗った黒漆が表面に見えるようになる。用途に即した形状の美しさや優れた耐久性に加えて、日常での使用を積み重ねることで表情を変えていくその様は、近現代の茶人をはじめ美術コレクターたちをも魅了し、鑑賞の対象となっている。 英語で「japan」とも訳される「漆器」に潜む、古くから伝わる日本の美を堪能できる機会となりそうだ。