「年末にまとめて大掃除」よりも効率的…汚れそうな場所に先回りして手間を減らす"予防掃除"4つの方法
■「1口コンロ用の油跳ねガード」で油を飛び散りにくくする 2020年頃からは、マスキングテープやフィルターが流行。「外の土やホコリもつきやすい窓のサッシの溝、手あかがつきやすいスイッチ回り、トイレの便器が床と接する部分、見落としがちですがホコリが詰まりやすい浴室ドアの通気口などにテープやフィルターを貼っておけば、汚れたときに交換するだけで済みます」。東洋アルミから出た、浴室ドアや浴室換気扇・浴室乾燥機用のホコリ取りフィルターのシリーズは、コロナ禍で大ヒットした。ちなみに、食器棚やキッチン収納に敷く専用シートもニトリなどで販売されている。冷蔵庫や棚類の上も、本間さんは2013年からラップなどを貼ることを提唱している。 キッチンについて本間さんは、調理中に1口コンロ用の油跳ねガードを置くようすすめている。「油は1.5メートルから2メートル跳ぶと言われているので、1口用を使えばガードの外に飛び散りにくくなります」と話す。 しかし、若い世代はコンロを使用しない傾向がある、と本間さんは言う。「今はバズる系のレシピ本は、電子レンジ調理をすすめているので、加熱を電子レンジで行えばその庫内が汚れるだけで済みます。電気調理なべを2台使ってコンロは使わない、というご夫婦もいます」。経済評論家の勝間和代が電気鍋を使うなどしてコンロを使わない生活を提唱したのが、2017年。家電に加熱調理を任せればコンロを汚さないで済むし、ほったらかしで調理できる、と考える人が増えた結果、油脂で汚れがこびりつきやすく水垢も出やすい、掃除に手間がかかるキッチンが、実はあまり汚れなくなっている人がいるのだ。 ■15年前は「家事をラクにしよう」とは言いづらかった このように予防掃除のトレンドから、世代ごとの認識の違いも透けて見える。「私が時短家事を提唱し始めた15年前は、大きな声で『家事をラクにしよう』とは言いづらかった。でも、わざわざ遠方から夜行バスで来て、応援してくださった先輩たちがいて勇気づけられました」と話す本間さん。「当時は30~50代ぐらいに、やらなくていい、と考える世代のボーダーがあった感じなのですが、今はもっとやらない価値観の世代が出てきました」と説明する。 「本当はきちんとやるべき」と考える60代以上、「ある程度サボってもいい」とする40~50代、「できればやらない」30代以下という感じだろうか。若い世代には、「ていねいに掃除して家じゅうをピカピカに保つべき」という強迫観念は薄れてきたのかもしれない。家事をラクにしよう、というムーブメントが始まって約10年。時代は確実に変化している。